相場操縦はどんな犯罪? バブル期にも横行、市場の信頼崩す手口とは

今春以降、証券口座が相次いで乗っ取られる被害が出ていた問題で、警視庁は28日、中国籍の男2人を金融商品取引法違反(相場操縦)の疑いなどで逮捕しました。相場操縦とはどのような行為なのか、解説します。 Q 相場操縦とは。 A 株式などの金融商品が売り買いされる証券市場で、価格をわざと変動させたり、固定させたりすることだ。金融商品取引法で禁止されており、利益目的の場合は、10年以下の拘禁もしくは3千万円以下の罰金、またはこれらの両方が科される。 Q なぜ禁止されているのか。 A 証券市場の信頼が崩れてしまうからだ。価格相場は自由な競争が行われている市場のなかで、買い手の需要と売り手の供給の量によって決まる。それを人の手で操作するようなことがあれば、投資家が安心して取引できなくなってしまう。「市場の番人」と呼ばれる証券取引等監視委員会が監視の目を光らせている。 Q どんな行為が相場操縦にあたるのか。 A 売買する意思がないのに、一人で株式の売り注文と買い注文を同じ価格で出す「仮装売買」や、複数人で示し合わせて注文を出し合う「馴合(なれあい)売買」などがある。これらは取引が活発で、人気のある株式だと投資家に誤解させる行為だ。 特定の株式を高値で買い続けることで価格をつり上げる「買い上がり」という行為や、逆の「売り崩し」もある。 Q 捜査のポイントは。 A 通常の取引か相場操縦行為かの主な分かれ目は、他の投資家を取引に巻き込もうとする「誘因目的」があるかどうか。ただ、誘因目的は人の心のなかで思うことなので、立証が難しいとされる。 Q 過去にはどんな事件があったのか。 A 昭和から平成初期にかけては「仕手筋」と呼ばれる職業的な投資家たちがばっこし、株価操作事件を起こした。インターネットが普及した平成後半以降は、個人投資家がグループをつくり、大規模な相場操縦を行うケースも。 近年では、大手証券会社「SMBC日興証券」の幹部たちが、特定株式の終値を安定させる操作をしたとして、2022年に相場操縦の罪で逮捕・起訴される事件もあった。(横山輝) ■過去に起訴された主な相場操縦事件 1973年 大手飼料メーカー「協同飼料」の副社長らが証券会社幹部と共謀し、自社株を大量に売買して株価をつり上げ 90年 仕手集団「光進」の代表が「藤田観光」の株価を大量注文などで操作 2004年 北海道のデイトレーダーが大量の買い注文を入れるなどして「真柄建設」などの株価をつり上げ 15年 仕手集団元代表が投資サークルのメンバーらに指示するなどして化学メーカー「新日本理化」の株価をつり上げ 22年 SMBC日興証券の幹部らが、特定の株式について市場が閉まる直前に自社資金で大量の買い注文を入れて終値を安定化

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