闇バイトの「採用面接」自宅動画も送らせる 供述や押収資料から判明

岐阜市の80代男性からキャッシュカード6枚をだまし取ったとして、福岡県警は8日、フィリピンを拠点にする犯罪組織「JPドラゴン」メンバーで住所不定、無職の三本竹(さんぼんちく)朗容疑者(28)ら6人を窃盗容疑で再逮捕し、発表した。いずれも容疑を認めているという。 特殊詐欺事件では、キャッシュカードを受け取る「受け子」や現金を引き出す「出し子」を闇バイトで集めていたとされる。容疑者らの供述や、JPドラゴンの拠点でフィリピン当局が押収したスマホの解析などから、「リクルート活動」の一端が明らかになってきた。 ■トランプも準備? 組織犯罪捜査課によると、グループのメンバーがSNSに「」「」「」といったキーワードをつけて募集を投稿。応募者から住所や氏名、親の職業や闇バイトの経験有無を聞き出し、身分証を持った写真を送らせていた。 秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」の通話機能を使い「面接」を実施。自宅に入る様子をビデオ通話で映させ、正しい住所かどうか確認していたという。応募者に逃げられなくするためだと県警はみている。 このグループは、電話で警察官を名乗って「口座が不正利用されている」と告げ、被害者に暗証番号のメモとキャッシュカードを封筒に入れて準備させていたとされる。受け子が自宅を訪ね、被害者のすきを見て封筒をすり替えてカードを盗む手口だ。 受け子役には、キャッシュカードとすり替えるためにトランプを用意させることもあったという。 テレグラムのグループチャットでは「業務の進行状況」を共有し、組織の幹部も閲覧していたという。県警は仕事ぶりを監視する目的があったとみている。 6人の再逮捕容疑は2022年10月15日、岐阜市の男性(87)方で岐阜県警の警察官を名乗ってキャッシュカード6枚を盗み、ATMから現金111万6千円を引き出したというもの。 6人は、岐阜県で起きた別のニセ電話詐欺事件に関与したなどとして窃盗罪や詐欺罪で福岡地裁に起訴されている。(榎本瑞希)

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