今村洋史元衆院議員（63）が理事長を務める医療法人有俊会の補助金不正受給事件で、妻で理事の有希子容疑者（57）＝詐欺容疑で逮捕＝が会計検査院の調査前、国から支給され余っていた個人防護具約2万8000着を市外の倉庫に移すよう指示していたことが11日、関係者への取材で分かった。 運営する「いまむら病院」（愛知県一宮市）内で段ボール箱ごと山積みになっていたといい、新型コロナウイルス対策補助金の不正請求の発覚を免れるため隠匿したとみられる。名古屋地検特捜部もこうした経緯を把握しており、不正を認識していた証拠とみて捜査。今村理事長の関与の有無についても調べている。 有希子容疑者は2023年3～5月、業者から個人防護具や医療機器を購入したように装うなどし、国の交付金を財源とした愛知県の「設備整備」補助金計約5260万円を詐取した疑いが持たれている。 関係者によると、有俊会は20年12月以降、数百品目の設備整備費として計約3億8900万円を受給。個人防護具は国の支給品があったが、数千万円分を不正請求し、余った支給品が病棟の一室や通路にあふれかえっていた。 会計検査院が現地調査に入った23年12月の時点で、余剰分は約280箱（約2万8000着）に上った。有希子容疑者は事前の調査通知を受け、業者に頼んで一宮市外の倉庫に搬出し、終了後に病院近くの職員寮に運び入れた。 架空請求の医療機器は「修理中」と偽り、業者に発行させた預かり証を検査院の調査官に示したという。 有俊会はコロナ患者受け入れに備えた「空床補償」も含め、計17億円余りを受給。特捜部は他にも不正が行われていたとみて解明を進める。