10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックを今ふたたびふり返る【プレイバック・フライデー】。今回は10年前の’15年12月18日号掲載の『どんなに摘発してもイタチごっこ 「JKビジネス」出張マッサージと新型見学クラブ潜入撮』を紹介する。 ’15年9月、東京・秋葉原(千代田区)でマジックミラー越しに制服やスクール水着姿の女性がポーズをとる姿を見学させる「JK見学クラブ」を無許可で営業していた経営者が興行場法違反で逮捕された。 当時のJK見学クラブは「女性が18歳以上で“ヌキ”がなければ何をやってもOK」という方針のもと、過激なサービスの店が乱立していた。それに対し警察は、JK見学クラブの形態が「見せ物」にあたるため、興行場法での届け出が必要だと「待った」をかけたのだ。 しかし、JKクラブ側も法の抜け穴をさらに巧妙について、あの手この手で新手の商売を考え出していった(《》内の記述は過去記事より引用、年齢は当時のもの)。 ◆「見学店」が摘発されて誕生した店に潜入 《「男性ルームからミラー越しに個室にいる女のコを選んでください。その後は10分2000円からリフレが受けられます」 東京・池袋(豊島区)の繁華街のありふれた雑居ビル。本誌が潜入した『N』の男性店員がそうシステムを説明する。 案内された3畳ほどの部屋は壁一面がマジックミラーで覆われていた。かつての見学クラブは、複数の女性が大部屋でくつろぎ、男性客はその様子を個室からミラー越しに”見学”した。しかし同店はその逆。大部屋の客がミラーの向こうの個室に一人ずつ待機する制服女子を指名する。女のコは下着を見せたりしない。サービスは個室に移動してからだ》 つまり、マジックミラー越しに女性を見学するのは、「マッサージをしてくれる女性を選んでいる」という建前なのだ。違法なのはお客に見学をさせてお金を取るからで、指名したあとにマッサージ料金をもらうぶんには問題ないという理屈だ。あくまで店が提供しているのは個室でのリフレなのである。このような店が当時は続々とオープンしていたという。では、個室に入った後はどのようなことになるのか。 《大部屋を出てウラにまわり、制服女子が待つ1畳ほどの個室に入る。 「ユカ(仮名)でーす。指名ありがと 」 そう言いながら彼女はカーテンを閉めて、個室を大部屋から見えなくする。 「ほら見て、今日はちょっとセクシー系のパンツだよ。オプションをつければもっと気持ちよくなれるよ」 ユカは手や足を揉(も)む簡単なマッサージも早々に、ハグや添い寝などのオプションを誘ってきた。見ればメニュー表には「電マ(3000円)」などのアダルトグッズを使ったプレイも記されていた》 他にもバスタオルで仕切られた個室で女の子と1対1で対面、仕切りのタオルの上から制服姿でストレッチをする女の子の姿を見ながらお客が自分で処理をするという店もあった。 「見学クラブ」はこのように形を変えて生き残っていったのだ。 ◆急増した「デリバリー型」 また、「店舗」型から「デリバリー」型に移行するJKリフレも急増していた。本誌が潜入した東京・新宿のJKリフレ『S』もその一つ。60分1万円で制服を着た女性を自宅やラブホに派遣する。密室で行われるのは、男性客がパンツ1枚になった状態でのオイルマッサージだ。 《「気持ち良いですか〜♡」 高校を中退して「18歳になったばかり」というシオリ(仮名)は在校時代の制服姿で、仰向けに寝そべった本誌記者の全身を念入りにマッサージする。やがて馬乗りになり身体を密着させて囁(ささや)いた。 「裏オプもできますよ。手なら1万円、最後まで(本番)は3万円です」 そう慣れた口調で話すシオリ。聞けば、この方法で毎回荒稼ぎしているそうだ》 『S』のHPには在籍する女のコのブログが掲載されていた。真偽は不明だがそこには「JKです」「学校帰りに自前の制服で行きます」などと、アンダー(18歳以下の現役女子高生)をアピールするコもいた。関係者によればこの店をはじめ、摘発が難しい派遣型の店には現役女子高生が紛れ込んでいることもあったという。 ◆実態は“脱法風俗” JKビジネスは、風俗店や接待飲食店ではないことから18歳未満でも働けるという建て付けで’00年代半ばに「JKリフレ」が誕生して始まった。風俗店ではないが、その実態はいわば“脱法風俗”で、児童買春など非行の温床になると問題視されるようになり、摘発される店が続出する。 すると店側は、「JK撮影会」「JK見学店」「JKコミュ」などさまざまに業態を変えて警察とのイタチごっこを続けてきた。記事に出てきた店もその一例だ。 だが、’17年7月に愛知県に続いて東京都が「特定異性接客営業等の規制に関する条例」を制定。JKビジネスをまとめて「特定異性接客営業」と位置付けて、18歳未満が働くことを完全に禁止したのだ。この条例は各都道府県でも順次、施行され、“本物のJKによる”JKビジネスは壊滅した。 背景には日本のJKビジネスは児童買春や児童ポルノの温床だと海外から強く非難されて、対応せざるを得なかったという事情があった。 警察庁によれば、’24年12月末現在でJKビジネス店は全国に91店存在する。18歳以上しか働かなくなったことで、ますますその実態は風俗に近くなったと指摘する人もいる。また、警察は現在でも女子高生が働いているケースがあるとして警鐘を鳴らし続けている。