JR長野駅前で起きた男女3人殺傷事件。犯人が逃走して5日目の26日朝、長野市内で46歳の無職の男が逮捕されました。被害者と面識はなかったということです。バンキシャ!は、男を知る人たちに話を聞きました。【バンキシャ!】 ◇ 26日朝、7時頃。事件は急展開を迎えた。 バンキシャ 「こちらには警察官が2人。奥の茶色いマンションにはマットのようなものを複数名が運んできました」 バンキシャ 「現場はものものしい空気となっています」 転落した時の衝撃を和らげるためか、大型のマットが。しばらくすると… バンキシャ 「あ!今ひとり人物が。青い服を着た男性が車に入っていきました」 捜査員に囲まれ、白髪交じりの男が姿を見せた。男を乗せた車は、警察署へ。 「今、容疑者とみられる男が車から降りてきました。長野中央警察署に入っていきます」 顔は真下を向いたまま。表情をうかがい知ることはできない。 そして、せい惨な事件から5日目。 長野県警 吉澤 敏 刑事部長 「氏名、矢口雄資、男、46歳」 「本日1月26日午前7時13分、殺人未遂罪で通常逮捕しました」 矢口雄資容疑者、46歳。殺人未遂の疑いで逮捕された。 1月22日、JR長野駅前で男女3人が男に刃物で刺され、49歳の丸山浩由さんが亡くなった事件。矢口容疑者は、被害者の女性1人を殺害しようとした疑いがもたれている。 逮捕の一報のあと。事件現場では人々が献花台に手を合わせていた。 埼玉から来た 「早く捕まってくれてほっとしたのと、残されたご家族を思うといたたまれない思い」 その長野駅から直線で約3キロ。矢口容疑者が住んでいたのは、事件現場からほど近い場所だった。 26日朝、近所の人はある異変に気がついたという。 近隣住民 「警察が出入りしていたからさ。見えるんだよ家のベランダから」 「7時ごろだったかな。チェーンソーの音が聞こえた。ガーって。だから木でも切っているのかと思ったんだよ。そしたらボンと音がした。破裂音みたいな」 その後、突入した捜査員に逮捕された矢口容疑者。警察によると、暴れることはなく素直に応じたという。 バンキシャ 「(容疑者が)家の近くにいたのは?」 近隣住民 「びっくりするね、信じられないね。ここのところ警察っぽい人がうろうろしてたんだよね、きのうも」 バンキシャ 「もしかして…この付近にいるんじゃないかと…」 近隣住民 「そこまで考えなかった。まさかと思う」 ◇ 矢口容疑者の自宅では26日、鑑識作業が行われた。間取りは7畳のワンルーム。今のところ凶器は見つかっていないという。 被害者と面識はなかったとみられている矢口容疑者。どんな人物なのか? バンキシャ!は、中学時代の同級生に話を聞くことができた。 矢口容疑者の中学時代の同級生 「1年から3年までずっと一緒で、部活も一緒でしたね」 バンキシャ 「何部?」 中学時代の同級生 「バスケ部でした」 バンキシャ 「どういう人だった?」 中学時代の同級生 「すごく真面目で、部活も頑張っていたし、勉強もそこそこできる子だった」 最近の様子については、住んでいたマンションのオーナーがこう証言した。 バンキシャ 「一人暮らしなのか、家族と住んでいたのか」 矢口容疑者が住むマンションのオーナー 「家族はいないはずです。単身用の物件なので」 バンキシャ 「これまでにトラブルなどがあった?」 マンションのオーナー 「別に事件も事故もない。警察が来たというようなことも私の知る限りではありません」 近所の住民 「一週間に何回か、2~3回会ってました」 「よく自転車に乗って上下おそろいの作業着を着て、そこの自動販売機でコーヒーを買って。必ず買うんですあそこで。それで覚えてるんです。悪さするような顔じゃなかった。真面目そうで」 “トラブルは聞かなかった”という。 その矢口容疑者にたどりついた手法。捜査本部によると、それは防犯カメラやドライブレコーダーをたどる、いわゆる“リレー捜査”だ。画像を公開して得られた情報を積み上げ、逮捕に至ったという。 ◇ 犯行時刻は、1月22日水曜日、午後8時ごろ。 これはその約10分前、長野駅善光寺口の映像だ(映像提供:INC長野ケーブルテレビ)。画面左には事件現場がある。その反対側、画面右下に立っている人物。これが矢口容疑者だとみられる。 矢口容疑者とみられる人物の姿は別のカメラにも(提供:長野県警)。そこには、事件現場方向を向き、少し壁にもたれるような姿が。 事件直前とみられる22日午後8時5分頃。駅前ロータリーには多くの人が行きかい、バス乗り場には10人ほどが並んでいた。しかし、およそ3分後、その列はなくなり、事件現場付近に人が駆け寄る様子が確認できる。 その同時刻(午後8時8分頃)、長野駅前を通ったタクシーのドライブレコーダーの映像(タクシー会社提供)。 事件現場は、画面左。そこへ向かい、画面右にある交番から、走ってくる警察官とみられる姿。その手元には、さすまたのようなものが。矢口容疑者が逃走した方向へ走っていった。 およそ10分後(午後8時20分頃)。タクシーが駅前に戻ると、多くの緊急車両が集まっていた。 警察によると、犯人は立て続けに3人を襲った後、駅前の広場に向かい、その後、交番の前を通り過ぎ、隣接するホテルの横を通り、線路沿いに逃げていったという。 バンキシャ 「この線路沿いを通って逃走したとみられています。暗いですね」 近所の人は… 近所の住民 「あそこ知っている人以外通らない」 記者 「来たばかりの人が通るような道?」 近所の住民 「あんまり通らない」 逃走から5日目。事件現場から3キロほどの場所で逮捕された。 ◇ バンキシャ!は、警察が公開していた画像を鮮明化した。(鮮明化技術:ロジック・アンド・デザイン) 技術担当者 「左側が処理前で、右側が処理後になるんですけど、いまは処理を加えていません」 まずは、明るさを処理していく。 技術担当者 「いまは(元画像)0パーセントですけども、およそ30パーセント明るくなったと思います」 「60パーセント、もうちょっと明るい方が見やすいと思いますので、80パーセントまで処理を加えてみました」 バンキシャ 「あ、すごい服が鮮明に見えるようになりましたね」 さらに、輪郭などを調整すると。 バンキシャ 「ひげみたいに見えますね」 技術担当者 「そうですね、ひげのように見えますね」 あごの付近にひげのようなものが。鮮明化したことで、服の色やしわなどがより見えるように。よく見ると上着のポケットは、大きく膨らんでいることがわかる。 さらに眼鏡のフレームも見やすくなったが、26日朝、逮捕された矢口容疑者を見ると… バンキシャ 「逮捕された容疑者と、警察が公開していた画像を比べると、だいぶ印象が違います」 眼鏡もかけず、あごひげのようなものも確認できなかった。 中学校時代の友人も… 矢口容疑者の同級生 「防犯カメラの画像では気がつかなかった」 バンキシャ 「どの時点で気づかれた?」 中学校時代の友人 「ニュースで(矢口容疑者の)名前が出て気がついた」 眼鏡をかけ、ひげを生やし、別人になりすまそうとしたのだろうか…? 逮捕を受け、事件現場では。 丸山さんの知人 「今、献花したときにマル(丸山さん)に(容疑者が)『捕まったぞ』と話しました」 「捕まってよかったというのと、ふざけんなよというのが正直な気持ちで…何してくれてんだよという感じです」 警察によると、矢口容疑者は取り調べに対し落ち着いた様子ながらも、黙秘を続けている。 *1月26日放送『真相報道バンキシャ!』より