1年前の12月14日、北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女2人が男に刃物で襲われる事件が発生した。 この事件で中島咲彩さん(当時15)が死亡、男子生徒(15)も全治1か月の重傷を負った。 事件の捜査を指揮したのは橋本浩輔さん。 当時、福岡県警の捜査1課長だった。 事件発生から6日目となる19日朝、捜査員たちは平原被告の自宅前に立った。 ※前・後編で掲載 【前編から読む】「この野郎」「見とけよ、貴様」北九州・中学生2人殺傷事件から1年 捜査1課長(当時)が初めて語った犯人への憎しみと執念の捜査 ■「10分間の声かけで応じないということはもう突入だ」 橋本浩輔さん(元福岡県警捜査1課長) 「『平原さん』と声かけはさせましたね。前提として10分間と私が決めとったんですよ。居留守はもう分かっていますから、監視状態に置いていましたのでね。いることは分かっていますから、10分間の声かけで応じないということはもう突入だということで」 10分間、声かけをした。 応じなかった。 橋本浩輔さん(元福岡県警捜査1課長) 「ゴーサインを出して突入させましたね」 表側の掃き出し窓と裏の勝手口、2か所から指揮官以下10人が突入した。 ■平原被告 居間の椅子に座ったまま驚愕の表情 指揮官の報告によれば、平原被告は驚愕の表情だったという。 あっけにとられていた。 橋本浩輔さん(元福岡県警捜査1課長) 「動きが素早いです、やはり部隊はですね。だから身動き、たじろぎもできず、みたいな感じだったんじゃないすかね」 平原被告は居間のいすに座った状態だった。 部屋には筋トレの道具があった。 抵抗は全くなかった。 橋本浩輔さん(元福岡県警捜査1課長) 「抵抗は全然していません。まぁ、していませんというよりも、多分暇がないと。そういう訓練を日頃から特殊事件係はしていますので」 ■平原被告の取り調べ 「善悪の判断はついているな」「責任は取ってもらわないかんな」 橋本さんは部下に取り調べをさせた。 録音録画をずっと見ていた。