清水尋也被告の「複数の一般の仕事を探し働いていきたい」裁判傍聴で印象深い言葉の真相とは…

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 9月に都内の自宅で乾燥大麻を所持したとして、麻薬取締法違反の罪で逮捕、起訴された、俳優清水尋也被告(26)の初公判が8日、東京地裁で開かれた。傍聴して印象に残ったのが、今後について聞かれた同被告が口にした「生活を安定し立て直すためにも、複数の一般の仕事を探し、働いていきたい」という言葉だった。 清水被告は、神妙な面持ちで入廷した。開廷直後から伏し目がちで、声も小さかった。それが、被告人質問のあたりになると検察、弁護側、裁判官の顔を真っすぐに見て、はっきりとした口調で質問に答えるようになっていた。その中で飛び出したのが「一般の仕事を探し、働いていきたい」という発言だった。 これまで、芸能人が薬物に手を染め、逮捕された事案をいくつも取材し、公判も傍聴してきた。「今後、どう生きて更生の道を歩んでいくのか?」などと質問が飛ぶと、芸能活動の再開を希望するか、復帰したいが現実的には見通しが立たない、というような発言は何度か耳にしてきた。一般の仕事を探して働きたいと、ここまで明確に口にしたケースは、そうそう、ない。ノートに書き込んでいた手を止め、清水被告の表情を確認したが、目の色は真剣だった。 ただ、聞いていて、現実は口で言うほど簡単にはいかないだろうとも思った。大麻に手を染めた理由を聞かれた際、「職業柄、多くの方に名前を知られる。ありがたい中、私生活で精神的に息苦しさを感じた」と答えたように、知名度は一定程度、高い。働いていれば、誰かに気付かれたり、働いている場所の周辺で週刊誌をはじめとした芸能メディアの直撃を受けるなどして、騒がれる可能性もある。雇用する側も、周囲に与えるさまざまな影響を考慮せざるを得ないだろうし、そうしたものを乗り越えた先に、同被告が納得して働ける場所が、果たして、どれくらいあるだろうか? 裁判の序盤で「愚かな行為で(周囲を)裏切ってしまったことを後悔します。大麻は2度と使用しません」と口にしたのをはじめ、法廷で反省と更生への決意を何度も口にした。その一方で、9月3日に逮捕された当時、レギュラー出演していたTBS系連続ドラマ「日曜劇場 19番目のカルテ」が放送されており、捕まったら各所に多大な影響が及ぶのが避けられない中、なぜ大麻をやめられなかったのかと聞かれると「認識の甘さ…自分を過信していた」と、自身の未熟さも認めた。 大麻は誰に見られるか分からないため基本、自宅でしか吸わなかったというが「1人で使う場合もあったが、同じ空間にいるから自分のものを渡した」と、他者にも吸わせたことを認めた。「同じ空間にいる人が(大麻を)使うことを規制する気持ちになれなかった。違法なものであるという認識はあり(他者を)巻き込んでしまった認識、ネガティブな感情はありました」という言葉自体、順法精神に欠けていると言わざるを得ない。 コンプライアンスの順守が求められる昨今、薬物等の問題で逮捕・起訴されたり、スキャンダルを起こした芸能人が、テレビ各局の番組に復帰するのは、ますます難しくなっている。観客が料金を払い、選んで見るような映画、配信、舞台に出演したり、オンラインサロンを開設するなどして収益を上げている芸能人もいるが、問題を起こす以前の活動ができているか? と問えば…多くが否、だろう。 そうした現状を、清水被告が知らないはずはないだろう。それでも「複数の一般の仕事を探し、働いていきたい」と口にしたのは「生活を安定し立て直すためにも」というのが第一義だろうが、その一方で社会人として欠けているものを積み重ねたいという気持ちも、あるのではないか。もし、そうであるならば、逃げずに人生と向き合って欲しい…そんな思いで、傍聴席から清水被告を見つめていた。【村上幸将】

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