「教員や子どもが盗撮」「卒アルから性的動画」・・・深刻被害の背景に犯罪へと駆り立てるSNSコミュニティの闇

誰もが自分のスマホを持ち、インターネットという大海に情報を発信できる時代。あらゆる情報にアクセスして世界を広げられる一方、盗撮画像をSNSで拡散されてしまうなど「デジタル性暴力」の被害に遭うリスクもある。今年6月には教員同士による盗撮とその画像共有が明らかになり、文部科学省が緊急会議を開くなど波紋が広がっている。子どもを被害者にも加害者にもしないために家庭や学校でできることはあるのか。ネットパトロールを行っている団体「ひいらぎネット」代表の永守すみれ氏に話を聞いた。 ――永守さんたちが行っているネットパトロールについて教えてください。 SNSや掲示板など、ネット空間に拡散されているデジタル性暴力画像の通報を行っています。2020年の夏、Twitter(現X)のタイムラインに「女子高生の盗撮画像を販売しているアカウントを一緒に通報してください」という呼びかけが流れてきたのがきっかけでした。 その中には学校で盗撮された画像もあり、安心して学べるはずの学校で盗撮が起きていることに、子育て中の親として大変な衝撃を受けたのです。子どもたちが安心して過ごせる学校や社会であってほしいという思いから、不適切なアカウントをSNSなどのプラットフォームに通報する活動を始めました。 ただ、こうしたアカウントは凍結されてもすぐに別のアカウントを作ったり、凍結を見越して避難用のアカウントを用意していたりするケースも多く、プラットフォームへの通報だけでは加害と拡散は止まりません。そのため、もっとリアルに取り締まりが行われるよう、警察や学校にもご連絡する形に変化して今に至ります。 ――デジタル性暴力画像とはどういったものを指すのでしょうか。 正式な定義はありませんが、私たちは「本人の同意なく撮影または生成された画像や動画、本人が拡散を望んでいない性的な画像や動画」をこう呼んでいます。これには児童ポルノやリベンジポルノ、ディープフェイクも含みます。 とくに未成年者のディープフェイク被害はこの1〜2年で急速に増えています。AI技術の進歩は速く、昨年の9月頃は1枚の画像から作れるのはヌードや水着の画像でしたが、今は性的な行為を行っている動画までできてしまいます。さらには、卒業アルバムや行事の写真が悪用されているケースが散見されます。 ――デジタル性暴力画像は、どのような目的の下で拡散されるのでしょうか。 大きく分けて2つあります。1つはお金儲けの手段として行われるもので、性的な画像や動画を専門に売買するWEBサイトなどで販売されています。XなどのSNSでも売買を呼びかけるアカウントがあります。 もう1つは、性的な趣味嗜好や好奇心を満たすためのもの。例えば、児童生徒の盗撮画像をSNSのグループで共有していたとして名古屋市の教員が逮捕されましたが、報道では金銭的なやり取りがあったという情報はなく、ここは趣味嗜好による盗撮画像の交換がベースになっているコミュニティーだと思われます。 ――どのような状況で被害に遭うケースが多いですか。 私たちが見た範囲では被害者の99%が女性ですが、男性もゼロではありません。私の肌感覚では、女子高生の被害が1番多いように思います。駅のエスカレーター、商業施設で参考書などを読んでいる時やお化粧品を探している時、ゲームセンターでプリクラへの落書きやクレーンゲームに夢中になっている時などに狙われることが多いですね。 被害時の服装としてはミニスカートが多いものの、ロングスカートやキュロットの隙間から盗撮したり、パンツスタイルなら下着のラインを執拗に撮影したりといったケースも。どんな服装でも狙われる可能性はあるということです。

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