【社説】当番弁護士35年 国費で持続可能な制度に

割に合わないからと、当番弁護士の登録から離れていく知人が少なからずいた。来年の登録を済ませた鹿児島県弁護士会の村山耕次郎弁護士(49)は「私も考えたことがある」と打ち明ける。 逮捕直後に容疑者の元へ駆け付け、無料で接見する当番弁護士は1990年に大分、福岡両県で誕生した。全国に広がって35年、制度の存続が危ぶまれている。 全国で弁護士は増えているのに登録者が急減している。登録率は2014年の47・3%をピークに下落に転じ、昨年は統計開始以来最低の32・3%だった。負担の重さ、報酬の低さが原因とされる。 当番弁護士は冤罪(えんざい)防止の安全網だ。不起訴に持ち込んだ経験が何度もある村山さんは、そう実感する。意識の高い弁護士の熱意に多くを頼る現状は、もはや限界に来ているのではないか。持続可能な姿に改めるべきだ。

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