在宅でも構わず押し入り、飼い犬を撲殺…「匿流」の手荒い手口 栃木・小山の強盗致傷事件 7人で通話しながら金品を物色か

栃木県小山市の民家で11月に発生した強盗致傷事件は、匿名・流動型犯罪グループ(匿流)による手荒い手口が、捜査関係者や被害者への取材で浮かび上がってきた。家に明かりがあっても構わず押し入り、住人や飼い犬を見つけては襲う-。犯人に追い回された男性は今も強盗に遭う悪夢を見ている。これまで逮捕された男らは、少なくとも7人でグループ通話をしながら金品を物色していたとみられることが判明。県警は全容解明へ捜査を続けている。 「殺気を感じた。捕まったら終わりだと思った」。12月上旬、被害宅の住人男性(33)が事件現場で消えない恐怖を語った。 発生は11月4日深夜だった。「バーン」。映画鑑賞中だった男性は大きな物音を聞いた。玄関を見に行くと、ドアが外れていた。「泥棒に入られたかも」。義母(69)と5歳の娘は就寝中。8歳の娘には布団に隠れるよう指示した。 助けを求めようと、はだしのまま外へ出た。黒ずくめの男が3人いた。「おい」と怒鳴られ、走って向かってきた。家族を残した自責の念もあったが、必死で逃げた。近所宅へ駆け込み、110番した。 自宅へ戻ると3人の姿はなく、義母が倒れていた玄関は血だらけ。義母は棒のようなもので殴られ、右腕骨折の重傷を負った。死んだふりをしてやりすごしたという。ほえられたら困るからか、13年飼っていた柴犬は撲殺されていた。 「警察に言われたら困るから(義母を)やっちゃおう」。無事だった娘らは男らのそんな会話を聞いていたという。自宅が狙われた理由は見当がつかない。「今も私と娘は悪夢を見る。日常を壊されたんです」。男性は唇を震わせた。 これまで県警は強盗致傷などの容疑で匿流とみられる22〜33歳の男4人を逮捕した。実行役とされる3人は「SNSで闇バイトに応募した」と供述している。もう1人は現場周辺での監視役とみられる。 捜査関係者によると、4人は事件当時、他に指示役を含む3人と秘匿性の高いアプリのグループ通話をつなぎ、「金庫を探せ」「ないことはない」などと指示を受けながら室内を物色していたという。 結局、金品は見つからず、男らは通報を防ぐため、スマートフォンを奪って逃走した。男らは借金があり、報酬目当てとみられる。ある捜査関係者は「借金は働けば返せない額ではなく、安易に金を得ようとしたのでは。組織的だが緻密ではなく、相当手荒い手口だ」と眉をひそめた。

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