【分析】豪ビーチ銃撃、銃撃犯射殺した警察官に称賛の声 殺戮の終わり捉えた動画を検証

(CNN) 豪シドニーにあるボンダイビーチで14日に発生し、15人が死亡した銃撃事件で、銃撃犯の1人を射殺したとして英雄視されていた警察官は、シーザー・バラザ巡査部長であることが分かった。豪メディアが明らかにした。 反ユダヤ主義に根差したこの銃撃では、少なくとも15人が殺害された。惨劇の様子を捉えた複数の動画は、事件がどう展開したかを明確に伝える。武器が拳銃1丁のみだったバラザ氏がどのような動きで約45メートルの距離から銃撃犯を排除したのかも分かる。同氏の活躍もあって、オーストラリアではほぼ30年ぶりとなる規模の犠牲者を出した今回の銃乱射事件は終わりを迎えた。 シドニー・モーニング・ヘラルド紙とCNN提携局の9ニュース及び7ニュースによれば、バラザ氏が射殺したのはサジド・アクラム容疑者(50)だとみられる。その数分後には、アクラム容疑者の息子で共犯とみられるナビード・アクラム容疑者(24)も撃たれて重傷を負った。 ビーチと平行に走る道路の隣の歩道橋に立ち、銃撃犯の父子はショットガンとライフルを無差別に発砲。狙った数十組の家族連れは、ユダヤ教の光の祭り「ハヌカ」の最初の晩を祝っていた。 ソーシャルメディアに投稿され、CNNが検証した動画は、異なる複数の角度から同じ瞬間を撮影している。そこから銃撃と警察の対応が6分を少し回る程度の時間でどう展開したのかが見えてくる。 14日の銃撃は、ビーチから100メートル程度の距離にある公園で始まった。ドライブレコーダーの映像には、居合わせた夫婦が射殺され、最初の犠牲者になる場面が映っている。これより前、夫は勇敢にも一方の銃撃犯から銃を奪おうとしていた。 銃撃犯2人が近づくと、人々は歩道橋から逃げ出している。ナビード容疑者とみられる銃撃犯があらゆる方向へ発砲する間、サジド容疑者はハヌカの祭典が開かれている公園に向かっていく。 ここで、たまたま現場に居合わせた2児の父、アハメド・アル・アハメドさんが丸腰のままサジド容疑者に向かっていく。アハメドさんは、容疑者に飛びかかって銃を奪うことに成功した。 サジド容疑者は歩道橋の方へ戻っていく。すると別の通行人が容疑者に向かって物を投げつけた。ルーベン・モリソンさんとみられるこの人物は、後に殺害された。 歩道橋からはナビード容疑者とみられる銃撃犯が銃を掲げて狙いをつけ、複数回発砲しているのが見える。 約1分後、サジド容疑者が歩道橋の上で合流した。 その時、画面の奥に1人の男性が映った。黒っぽい色のズボンに白っぽい色のシャツ、黒いネクタイを締めたこの男性は場所を移動。木の近くで防御の態勢を取ると、銃撃犯に狙いを定めた。 この男性こそバラザ巡査部長だった。バラザ氏は手にした銃でサジド容疑者を射殺。ナビード容疑者は1分以上撃ち返したが、別の銃弾を受けて倒れた。この銃弾を撃ったのがバラザ氏なのか、同僚の警察官なのかは不明。 映像を分析したところ、バラザ氏は銃撃犯から約45メートルの距離にいることが分かった。これは拳銃で狙うには厳しい距離で、極めて経験豊富な射手でさえも命中させるのは困難とされる。 大勢の警察官や市民がすぐに2人の容疑者の周囲に集まってくる。バラザ氏は、救急隊員が一方の銃撃犯の心肺蘇生を行っている別の動画にも映っている。 またCNNが事件の大部分を収めた10分間の動画の音声分析を行ったところ、銃撃犯と警察官の両方で少なくとも100発の弾丸を撃っていることが分かった。 ナビード容疑者は逮捕され、病院に搬送されたが重体。警察は17日、同容疑者をテロ行為1件、殺人15件を含む54件の罪状で訴追した。 警察は父子が過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS) の思想に傾倒していたとみている。当局はまた、最近父子がフィリピンのミンダナオ地方に1カ月滞在していたことも調べている。当該の地域は長年イスラム過激派が活動拠点としていることで知られる。 19日、アルバニージー首相は国家情報局がISISからのオンラインビデオフィードを特定したと発表。銃撃犯がISISに感化されていたとする説を「強化する」ものだと述べた。9ニュースが報じた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加