【AFP=時事】中米エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領は23日、人権侵害疑惑で批判を浴びている巨大刑務所「テロリスト拘禁センター(CECOT)」の正当性を訴えた。CECOTは、ドナルド・トランプ米大統領による外国人犯罪者の国外追放の要となっている 米CBSニュースは21日、看板番組「60ミニッツ」でCECOTにおける人権侵害疑惑に関する調査報道番組を放映する予定だったが、土壇場で中止となり、政治介入の疑いが浮上した。 ブケレ氏は23日、ソーシャルメディアの投稿で人権侵害疑惑に反論し、「CECOTで拷問が行われているという確信があるなら、エルサルバドルは受刑者全員を釈放し、受け入れを希望する国に送ることで全面的に協力する用意がある」と述べた。 「条件は一つしかない。全員を受け入れることだ」と述べ、CECOTの受刑者には「ギャングのリーダーと政治犯とされる者全員」が含まれると説明した。 ブケレ氏の投稿は、ヒラリー・クリントン元米国務長官が22日にソーシャルメディアでCECOTを「残酷だ」と評したのを受けたもの。 クリントン氏は、「CECOTについてもっと知りたい? フアン、アンドリー、ウィルマーが、トランプ政権に証拠もなくギャングの構成員と決めつけられ、残酷なエルサルバドルの刑務所に追放された経緯を直接語っている」と投稿し、PBSフロントラインのドキュメンタリー番組「CECOTを生き抜く」の11分間の動画を共有した。 ■刑期は数百年 CECOTは3月以来、米国で大きな訴訟の焦点となっている。トランプ政権は当時、裁判官が米国に戻すよう命じたにもかかわらず、数百人のベネズエラ人を含む外国人をCECOTに追放した。 後に釈放された複数の追放者は、CECOTで繰り返し虐待を受けたと主張しており、人権団体もこうした主張を繰り返している。 人権団体「ソコロ・フリディコ・ウマニタリオ」によると、ブケレ氏が2022年3月に令状なしの逮捕を可能にする非常事態宣言の下、ギャングに対する取り締まりを強化して以来、エルサルバドル人454人が刑務所で死亡した。 公式筋によると、9万人以上が拘束され、約8000人が後に無罪判決を受けて釈放された。 エルサルバドルは21日、有罪判決を受けたギャング構成員数百人に拘禁刑を言い渡したと発表し、中には数百年に及ぶ刑期を言い渡された者もいる。 エルサルバドル政府は、過去30年間でギャングによる暴力で20万人が死亡したと主張している。【翻訳編集】 AFPBB News