高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」で預けた腕時計を勝手に売られる事件があり、警視庁は26日、運営会社「ネオリバース」(大阪市中央区、解散)元代表の小湊敬済こと福原敬済(44)=住居不詳=と、元従業員中山大志(44)=大阪市=の両容疑者を詐欺容疑で逮捕し、発表した。いずれの認否も明らかにしていない。 捜査関係者によると、同社が腕時計を預かり始めたのは2021年3月だったが、同月中旬には腕時計の質入れを始めていた。当初からだまし取る狙いがあった、と警視庁はみている。 腕時計約1700本(時価計約28億円相当)の所有者約650人から45都道府県警が被害届を受理。捜査の結果、被害届が出ていない分も含め約2300本が、全国の質店や買い取り店に渡っていたことが判明したという。 ■オンカジ口座や暗号資産購入に…… これらで福原容疑者らは現金約18億円を得ていたことも新たに分かった。このうち、法人や同容疑者の口座から、オンラインカジノの関係口座に約8億円、暗号資産購入に約3億2千万円を充てたという。 捜査2課によると、2人の逮捕容疑は共謀して23年8~12月ごろ、ホームページ上に「レンタルの有無にかかわらず、預託使用料は毎月発生」などとうその内容を掲載し、都内の30代男性から高級腕時計のロレックス15本(時価計約1800万円相当)をだまし取ったというもの。 トケマッチは、腕時計を預けた所有者が同社から預託料を受け取り、同社は別の人に貸し出して使用料を得ると称していたサービス。預かりに比べて貸し出し実績が乏しかったといい、警視庁は運営実態も調べる。(三井新、西岡矩毅)