マドゥロ氏、一夜にして追放…容赦のない「ドンロー主義」台頭(2)

◇マドゥロ大統領と中国特使の会談直後に逮捕作戦開始…「対中警告メッセージ」 中国は2007年以降、ベネズエラのインフラに約670億ドル(約11兆円)を投じるなど、ベネズエラを中南米「一帯一路」の橋頭堡として活用してきた。ベネズエラ産石油の84%を購入しているのが中国だ。特に2023年9月のマドゥロ大統領の訪中以降、両国関係は「全天候型戦略的パートナー」に格上げされた。こうした中国の中南米拡大戦略を、トランプ政府が「マドゥロ追放」によって遮断に乗り出したということだ。 昨年1月に発足したトランプ政権第2期の1年を振り返ると、西半球での影響力拡大を露骨に狙ってきた様子がうかがえる。トランプ大統領は就任直後からデンマーク領グリーンランドとカナダの米国への服従意志を示し、パナマ運河の運営権回収を圧迫し、ブラジルやホンジュラスなど中南米諸国の内政にも介入した。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「ベネズエラは『現代版帝国主義(latter-day imperialism)』の最初の対象になった」と伝えた。 今回の作戦のもう一つの原動力は石油だという分析も出ている。ベネズエラは世界の石油埋蔵量の約17%(約3000億バレル)を保有している。かつてベネズエラには米国のエクソンモービルやガルフオイルなどが進出していたが、チャベス前大統領が2007年、資源ナショナリズムを掲げて石油産業を国有化し、米石油企業の資産の一部が強制没収されるという事態も起きた。 トランプ大統領は3日の記者会見で、ベネズエラが安定した新政権へ移行するまで米軍が駐留して統治するとし、米国の石油企業がベネズエラの石油インフラ再建および収益創出に参加すると述べた。ベネズエラに親米政権を立て、エネルギー安全保障の観点から管理するという意味に解釈することができる。 一部からは、今年11月の中間選挙を前に、トランプ大統領が支持率低下にあえいでいる点が今回の作戦と無関係ではないという分析も出ている。ベネズエラ攻撃で政治的な守勢局面の打開を狙った可能性があるというのだ。不法移民・麻薬取り締まりは米国内で大きな支持を得ることのできる争点だ。トランプ大統領は「マドゥロは米国へ麻薬を密輸した巨大犯罪組織の核心人物」と強調した。 ただし変数はベネズエラの混乱だ。混乱が続けば、「米国第一(America First)」の下で対外軍事介入の自制を主張してきた保守陣営の反発を招く可能性がある。3日、ワシントンD.C.やニューヨークなどの大都市では「米国は中南米から手を引け」といったデモが行われた。MAGA(米国を再び偉大に)陣営では概して「強い米国が戻ってきた」と支持が表明された一方で、「もう一つの『イラク戦争の泥沼』に戻るのではないか」(スティーブ・バノン前ホワイトハウス首席戦略官)といった懸念の声も上がった。

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