裁判所は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の逮捕妨害などの容疑の大半を有罪と認めた際、他の内乱関連事件と重なる主要争点に対して、被告人の主張を排斥するかなりの数の判断を下した。とりわけ、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の内乱罪に対する捜査権や国務委員の審議権侵害などの、尹前大統領が執ように問題提起してきた手続き的争点について、裁判所がチョ・ウンソク特別検察官チームの主張を認めたことは、今後、尹前大統領だけでなく内乱の中心的な加担者たちの裁判でも、特検チームに有利に働く見通しだ。 「戒厳理由、緊急性なし」 ソウル中央地裁刑事35部(ペク・テヒョン裁判長)は、戒厳前に一部の国務委員のみを招集した尹前大統領による国務委員の審議・議決権侵害を判断する過程で、戒厳宣布過程の手続き的違法性を一部認めた。判決は「国家緊急権の行使たる戒厳宣布は、国家的危機状況を打開するための、別の手段や方法のない、極めて例外的な場合に限ってなされなければならない」として、「被告人の主張する戒厳宣布理由、すなわち当時野党だった共に民主党による多数の高位公職者に対する弾劾の試み、不正選挙疑惑の解消、国会の2025年度予算案削減などを考慮したとしても、緊急とはみなし難い」と述べている。裁判所は、国憲びん乱が目的だったなどの内乱罪の実体を正面から扱ってはいないが、少なくとも当時の戒厳宣布理由が憲法の「国家緊急権」に当たらないことは、はっきりと示したのだ。これは、内乱首謀容疑がかけられている尹前大統領はもちろん、内乱加担容疑で起訴された軍と警察の主要幹部と一部の国務委員にも不利に影響するとみられる。 公捜処の内乱捜査権を認める 尹前大統領が内乱首謀容疑の裁判で繰り広げた「違法捜査」主張も、逮捕妨害の一審判決ですべて破棄された。尹前大統領は、公捜処による直接捜査の範囲に内乱罪がないため、違法な捜査行為による証拠収集と起訴そのものが「無効」だと主張した。しかし裁判所は、公捜処は直接捜査の対象である職権乱用容疑について捜査を開始し、関連する犯罪である内乱へと捜査を広げたため、「関連犯罪捜査規定」に則り違法ではないと判断した。 軍事機密の場所である大統領室での令状執行には許可が必要だとする刑事訴訟法110条を根拠に、公捜処による尹前大統領の逮捕は違法だとする主張についても、裁判所は、同条項は人ではなく物の捜索にのみ適用されるとして棄却した。尹前大統領側は、逮捕令状をソウル中央地裁ではなくソウル西部地裁に請求して発行を受けたことも、「令状ショッピング」という表現を使って「法的効力はない」と強弁したが、大統領室は龍山区(ヨンサング)所在であるため西部地裁の管轄に属するという裁判所の判断に阻まれた。 「内乱加担者」有罪への道を切り開く 裁判所は、戒厳解除後の2024年12月7日にカン・ウィグ元大統領室付属室長があたかも戒厳当日に尹前大統領が署名したかのように戒厳宣言布を作成した疑いについて、尹前大統領をカン元室長の虚偽公文書作成の「共謀者」とした。カン元室長は同容疑で起訴されているが、共犯者である尹前大統領の有罪が認められただけに、カン元室長に異なる判断を下すのは容易ではない。裁判所はまた、公捜処による逮捕令状執行を大統領警護処が妨害したことについて、尹前大統領をキム・ソンフン元警護処次長、パク・チョンジュン元警護処長、イ・グァンウ元警護本部長の犯人逃避の「教唆者」かつ職権乱用の「共謀者」だと判断した。これら3人も特殊公務執行妨害の疑いで裁判中であるため、逮捕妨害事件の担当法廷の先制的判断に沿って有罪か無罪かが判断される可能性が高い。 オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ [email protected] )