安倍晋三元首相銃撃事件の裁判は21日午後、奈良地裁で判決が言い渡される。 2022年7月の事件を機に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による高額献金の被害が改めて問題化され、教団と政治家の関係が問われた。東京地裁は教団の解散命令を決定。韓国では教団トップの韓鶴子(ハンハクチャ)総裁らが政治資金法違反などの容疑で逮捕・起訴され、教団は国内外で追い詰められている。 銃撃事件直後、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された山上徹也被告(45)は、母親が教団に金を納めたことで生活が苦しくなり、「(教団を)恨む気持ちがあった」などと供述。教団トップを狙うのは難しく、安倍氏が教団友好団体のイベントに寄せたビデオメッセージを見て「つながりがあると思って狙った」と話したという。 ■注目された「高額献金」「宗教2世」 教団を巡っては1980年代以降、困難な事情を抱える人を勧誘し、生活を維持できなくなるほどの献金をさせる「霊感商法」が社会問題化した。銃撃事件を機に高額献金や、信仰を持つ親らのもとで育った「宗教2世」の問題が注目された。 教団側による自民党議員らのパーティー券の購入や、事実上の「政策協定」にあたる推薦確認書を交わした議員が選挙支援を受けた実態も浮き彫りになった。 自民党は22年9月、党所属国会議員と教団側との関係についての自主点検の結果を公表。379人中179人(のちに180人に)が選挙支援や教団関連団体の会合への出席など教団との接点を認めたが、茂木敏充幹事長(当時)は「党として(教団との)組織的な関係はない」と主張した。 岸田文雄首相(当時)は教団との関係断絶を党の方針として徹底するよう指示。岸田政権は宗教法人法に基づく質問権行使による教団の調査を進め、23年10月に解散命令請求に踏み切った。 ■自民党「組織的な関係ない」、しかし だが、その後も自民党と教団側との関係が相次いで発覚した。 朝日新聞は23年12月、岸田氏が自民党政調会長だった19年に教団友好団体トップらと党本部で面会したという関係者証言を、写真とともに報道。24年2月には、盛山正仁・文部科学相(同)が21年の衆院選直前、教団の友好団体から推薦状を受け取り、選挙応援を受けたとする関係者の証言などを報じた。 24年9月には、安倍氏が首相在任中だった13年の参院選公示直前、当時の教団会長らと党総裁応接室で面談し、選挙支援について確認したとみられることを報じた。それでも自民党は「党として教団との組織的な関係はない」と繰り返した。 昨年末以降、教団の元会長が、政治家との関係などを韓総裁に報告した内部文書とされる「TM(トゥルーマザー)特別報告」の内容がメディアに報じられた。解散総選挙が迫るが、自民党は現在まで教団との接点に関する再点検をしていない。 東京地裁が教団に解散を命じる決定を出したのは昨年3月。80年代以降に1500人以上に計約204億円の被害が出たと認定し、根本的な対策を講じておらず、著しく公共の福祉を害することが明らかだと判断した。 ■解散命令、高裁で判断へ 解散が命令された場合、宗教団体として存続でき、宗教上の行為は制限されないが、法人格を失い、税制上の優遇措置なども廃止される。裁判所が選ぶ清算人が教団の資産を管理して、債権者への支払いなどを行う。教団側は地裁決定を不服として即時抗告し、東京高裁が解散命令の適否を判断する見通しだ。 教団を巡る問題は日本にとどまらない。昨年9月、韓国では、教団トップの韓総裁が政治資金法違反や請託禁止法違反の疑いで特別検察官により逮捕された。尹錫悦前大統領の妻や側近への不正な金品供与に関与した疑いが持たれ、捜査が進められている。(高島曜介)