公判まで長時間を要した裁判員裁判 経験者が語った難しさ

千葉地裁は10日、公判を始めるまでに長時間を要した事件の裁判で裁判員を務めた経験者との意見交換会を開いた。参加しやすい裁判員裁判の運用につなげる狙いがあった。参加者らは、複雑な事件の内容を理解する苦労や、事件当時までさかのぼって審理する難しさなどを言い合った。 この日の意見交換会には、起訴から公判までに2~3年を要した裁判の裁判員を務めた6人が参加した。 地裁は、裁判員裁判における公判前整理手続きには、平均で8.1カ月かかると説明した。 公判前整理手続きとは、刑事裁判が始まる前に裁判官、検察官、弁護人が集まり、審理を迅速、計画的に進めるために争点や証拠を整理する作業のことだ。 司会を務めた水上周裁判官は、公判までに時間がかかる裁判の特徴として、事件の内容や当事者の主張が複雑であること、大量の証拠があって整理するのに時間がかかる、などを挙げた。 逮捕・監禁罪、殺人未遂罪などの公判の裁判員を務めた会社員の男性(57)は、五つの事件について19人の証人尋問をもとに審理した経験を語った。複雑な事件で、背景などを理解する難しさを感じたという。一方で、「長丁場だったので、真実に近づいた爪痕は残したいと思い、最後までがんばった」と振り返った。 船橋市の看護師、松本ゆり子さん(54)が裁判員を務めたのは、殺人未遂事件の公判だった。 被告の持つ軽度知的障害が事件に与えた影響について深く考えさせられたという。裁判員の中に子どもに知的障害がある人がいて、「新たな視点を学ばせてもらった」と話した。議論が進む中で他の裁判員との一体感が生まれたとも語った。 覚醒剤の密輸事件の裁判員を務めた柏市の小野文義さん(56)のケースでは証拠不備で公判開始が延期になったという。 事件の発生から2年が経過していたといい、税関職員の証人尋問を聞きながら「(税関の)仕事として毎日同じことをしていると、記憶がごっちゃになるだろうと思った」。そのうえで「早めに(証人の)記憶を確定させていく仕組みも必要ではないだろうか」と投げかけた。 水上裁判官は「裁判員裁判の運営について気づかされることが多かった。参加しやすくてわかりやすい裁判ができるようにしていきたい」と話した。(武田百花)

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