「タトゥーないなら脱いで」ビデオ通話で身体検査、捜査・取り調べ名目で裸撮影240件も

警察官をかたって金を振り込ませる特殊詐欺の手口に絡み、「身体検査」や「常時監視」が必要だとして、ビデオ通話の際に女性を裸にさせるといった性被害を伴うケースが、昨年全国で約240件確認されたことが警察庁への取材で分かった。近年、特殊詐欺全体でも20~40代の被害が急増しており、警察当局は「ビデオ通話で取り調べを行うことは絶対にない」と動揺しないよう呼びかけている。 「犯人にはタトゥーが入っている。確認のため服を脱いでください」。警察官をかたる男はビデオ通話で相手の女性にこう告げた。自らにかかった〝嫌疑〟を晴らそうと女性はその言葉に従った。特殊詐欺の過程で起きた性被害の一場面だ。 発端はスマートフォンなどにかかってくる1本の電話。「あなたは捜査対象になっており、取り調べを行う必要がある」として、以降は通信アプリを使ったビデオ通話に誘導する。被害者の住所や家族の名前まで把握し「秘密の捜査なので、周りに相談しないように」と心理的な圧力をかけてくることも。何らかの形で流出した個人情報を悪用しているとみられる。 ビデオ通話では刑事役のスーツ姿の男が登場。偽の警察手帳や逮捕状を示し、オンラインの取り調べを偽装する。県警の名称がプリントされた、記者会見でよく見かける背景パネルも用意する手の込みようだ。 通話相手の女性が性被害に遭うのは、この偽の取り調べのとき。「タトゥーの確認」といった口実もあれば、身体検査を理由に服を脱ぐよう強要するケースも多い。また「容疑者のため24時間監視が必要」としてビデオ通話を延々と続けさせ、入浴やトイレに行くときも通話を切らず、自身を撮影するよう強いられることもある。 これら一連のやり取りで被害者を精神的に追い込み、「容疑を晴らすために口座の金を調べる必要がある」と最終的に送金を要求するという。 こうした警察官をかたる特殊詐欺の被害は年々増加。昨年の認知件数は全国で約1万件で、年代別の被害件数では30代が2割超と最多だった。20代、40代の被害も急増している。 大阪府内では昨年1年間で1245件、被害額は約77億円に上った。大阪府警の担当者によると、性被害を伴うケースで、撮影された裸の動画が流出・拡散したり、新たな脅迫に使われたりといった二次被害につながった事例は現時点では確認されていない。裸にさせるのはあくまで相手を心理的に追い込み、送金の確率を上げるのが主目的とみられる。

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