2023年、札幌市内で走行中の車からタイヤが外れ、歩いていた当時4歳の女の子に直撃し、女の子が大けがをしました。事故後の裁判で「もう運転しない」と誓った男が、今年2月、無免許運転で逮捕されました。男はなぜまたハンドルを握ったのでしょうか。 ■女の子の父親「やっぱりかっていう部分と、呆れてる気持ちっていうのが強かった」 ■千葉雄太記者「警察への情報提供を元に今月10日、無免許運転で逮捕されたのは、2年余り前にタイヤを脱輪させ、4歳の女の子に大けがをさせた男でした」 無免許で運転した疑いで逮捕・送検されたのは、札幌市西区の自称・重機オペレーター、若本豊嗣容疑者52歳です。若本容疑者は2025年11月から12月にかけ札幌市や小樽市内で軽トラックを無免許で運転した疑いがもたれています。 2023年11月、札幌市西区平和で父親が二人の娘と坂道の歩道をあがっていたところ坂を下ってきた若本容疑者が運転する車の左前方のタイヤが外れ、タイヤは70メートル坂を転がり当時4歳の次女を直撃しました。次女は幼稚園の帰りでした。 事故後の裁判。 ■弁護側Q 「免許はどうしましたか?」 ■若本容疑者「昨年9月に返却しました」 ■弁護側Q 「過去にも無免許など交通前科あるけど、普通だったらやめるよね?」 ■若本容疑者「はい」 ■弁護側Q 「今後は?」 ■若本容疑者「自分に運転する資格はないので(免許を)とるつもりはありません」 2025年4月に札幌地裁は、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。判決によりますと、タイヤが外れた車は足回りが違法に改造され、若本容疑者は異音がするなど足回りに異常があることを知りながら、住宅街や通学路での走行を繰り返していました。 女の子は頚髄を損傷するなどの大ケガ。事故から2年余りが経過しましたが、女の子は今も意識がもどりません。父親が苦しい胸の内を明かしました。 ■父親「一言で言うなら、絶望がすごく大きかったですね」「いつもいた日常がもうなくなって、それが戻らないっていうのが毎日感じてることですね。目を覚ましてほしい」 裁判で若本容疑者は事故後に免許は返納し、もう運転はしないと誓いました。しかし判決からわずか半年、若本容疑者は無免許のままハンドルを握りました。 ■千葉記者「調べに対して若本容疑者は『仕事のためだった』と容疑を認めています。若本容疑者を知る人は冬の間、除雪の仕事をしていたと話しています」 いったいなぜ無免許でハンドルを握ったのか。古くから若本容疑者を知る人は… ■若本容疑者の知人「自信過剰で、自分が一番という考えがある。無免許運転は捕まらなければよいと思っていたのではないか」「反省していないような態度に見えた」 家族の負担について女の子の父親は… ■父親「慰謝料であったり娘の逸失利益っていう部分であったり、今後の将来的な介護費用であったりっていう部分の方が本当は大きな金額なんですけれども、そういったものに対しての支払い、そういうお金はまだ受け取っていないです」 脱輪事故裁判の被告人質問で、父親は若本容疑者にどう償うのか直接問いただしています。 ■父親「お金については?」 ■若本容疑者「一生かけて償いたいと思う」 ■父親「今後支払いできる財産は?」 ■若本容疑者「ないです」 ■父親「払いきれない分は泣き寝入りしろと?」 ■若本容疑者「そうは思っていないです」 ■父親「いまもまだ賠償関係はほとんど進んでいない状況なので、自分たちとしては、今回の若本容疑者の逮捕っていうのは、前の事故がそもそもまだ終わってないっていう感覚で、救済がないまま被害が続いてる」「自分たちへの救済っていうのはどうなるんだろうっていう不安がやはり大きかった」 若本容疑者は脱輪事故を起こす前にも無免許運転の前科があります。なぜ何度も違反を繰り返してしまうのか犯罪心理に詳しい専門家は一般論とした上で・・・ ■東京未来大学副学長・こども心理学部長出口保行教授「(「今回の事件だけではなくて)我が国の場合、再犯者に対する指導をどういう風にすればいいのかというのが非常に大きな課題になっています」「(一般的に)当初の事件を起こした時点、これでは非常に反省はするんです」「その反省っていうのが長持ちをしない、長続きしないで次の同様な失敗を生んでしまう」「要するに自分に対してあまり先を読む力が非常に乏しいというようなところは、非常に共通したポイントになってる。これが再犯者に共通する特徴。ここをどうにかしないと、どうにも再犯を止めることができないと言われています」 今回の無免許運転では、どのような処分が下されるのでしょうか?元札幌地裁の裁判官で村松法律事務所の内田健太弁護士は ■内田弁護士「これでまた(裁判で)軽い判決を出すということは、それは法廷で結局嘘でもいいからなにか約束さえしてしまえばいいんだってことになってしまいますから」「裁判所としては感情面というよりは事案の重さとして、この件は重大なものとして向き合っていくことになると思います」 脱輪事故の裁判の中で若本容疑者は今後、賠償金をどのように支払っていくのか、計画を提示するとも約束しました。しかし、いまもその見通しは伝えられていません。 ■父親「きちんとその裁判の時に言っていた被害者に泣き寝入りをさせないっていう言葉を守ってほしいですね」「なりふり構わず自分の言った言葉を守ってほしいっていうのは思っています」 司法は2025年、「懲罰」から「更生(=再犯防止)」に大きく舵を切りました。しかしその一番の壁となるのは「加害者の社会的孤立」と指摘されています。再犯を減らすことは新たな被害者を生まないことにつながります。社会全体の仕組み作りが改めて問われています。