「自白頼らぬ裁判を」 日野町事件、再審開始へ 名誉回復求める声も

滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性(当時69)が殺害された「日野町事件」で、強盗殺人罪で無期懲役が確定した阪原弘さん(故人)について、最高裁は検察側の特別抗告を退け、再審(裁判のやり直し)開始を認める決定をした。関係者からは阪原さんの早期の名誉回復を求める声があがった。 今後、大津地裁で再審が開かれて阪原さんに無罪が言い渡される見通し。 県内では、東近江市の湖東記念病院で2003年に死亡した男性患者への殺人罪で有罪判決を受けた元看護助手の西山美香さん(46)が再審で無罪となった。 湖東事件の弁護団だった杉本周平弁護士は、日野町事件で大津地裁と大阪高裁が認めた再審開始に対する検察の特別抗告を問題視。「憲法違反でも判例違反でもないこじつけともいえる抗告を安易に認めてしまい、阪原さんの名誉回復を遅れさせた」と指摘する。 また、杉本弁護士は両事件の共通点として、虚偽の自白が有罪の柱になったことを挙げる。 日野町事件では、警察の取り調べで阪原さんが自白したとして逮捕され、公判では否認。00年に強盗殺人罪で無期懲役が確定し、再審請求中の11年に75歳で亡くなった。 阪原さんの長男・弘次さんは、昨年6月にあった支援者集会で逮捕前夜の父の言葉を明かした。 「父ちゃんは殴られても自分がやったとは言わんかったけど、家の中ガタガタにしてきたろかと言われたときは、どうにも我慢できんかったんや。父ちゃんは、何もやってへん」 湖東事件でも、西山さんが取り調べを担当した男性刑事の誘導で虚偽の自白をしたと認定された。杉本弁護士は「自白に頼らない捜査、裁判をしていくことが重要。警察も検察もこれを教訓にしていく必要がある」と話した。 大津地検の中山博晴次席検事は決定を受け、「特別抗告が棄却されたことは遺憾であるが、あらためて証拠関係を精査した上、大津地裁で行われる再審公判に適切に対応したい」とするコメントを出した。 滋賀県警は取材に、「コメントする立場にない」とした。(真常法彦)

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