【ワシントン時事】中国でスパイ罪で起訴され、約2年9カ月にわたり拘束生活を強いられた元カナダ外交官マイケル・コブリグ氏が、24日までにオンラインでインタビューに応じた。 コブリグ氏は今月中旬の米中首脳会談に関し、中国が打ち出した「建設的戦略安定」という2国間関係の新たな枠組みを米側が受け入れた点が重要だと強調。中国は自国の戦略を推し進める時間稼ぎに利用すると警鐘を鳴らした。 コブリグ氏は首脳会談について、関税、半導体規制といった具体的争点でほとんど進展を得られなかったと分析。会談後の米中関係は、安定というより、双方とも強硬策を取りにくい「こう着状態」に入ったと呼ぶべきだと主張した。 その上で「中国は何よりもこう着状態、つまり時間稼ぎや引き延ばしを歓迎している」と指摘した。中国はこの間に、重商主義的な産業政策の推進や、レアアース(希土類)を含む重要鉱物のサプライチェーン(供給網)支配といった自国本位の経済戦略を着々と展開していくと見通した。 同氏はさらに、米国が将来、対中半導体規制を強化したり、台湾に武器を売却したりした場合、中国は「建設的戦略安定」に反すると米国を非難するはずだと予測。「建設的戦略安定」は「米国を拘束する枠組み」「レトリックのわな」だとし、「中国は米国を外交的守勢に追い込みつつある」との見解を示した。 トランプ米大統領については、米中2極体制を意味する「G2」という「単純なイメージ」を好んでおり、「長期的な対中戦略を持っている印象はない」と批判した。日韓豪3カ国との同盟強化などを通じ、中国の影響力抑制を目的とした「均衡連合」を形成すべきだと提唱し、6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で各国と対中政策を調整するようトランプ氏に促した。 自身の拘束に関しては、カナダ当局に逮捕された中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長(2021年9月に中国に帰国)の釈放をカナダに迫るため「人質」に取られたと説明。カナダに戻る機内の窓から日本が見えた時、「背中にのしかかっているように感じていた中国という国家の重み」から解放され、胸が熱くなったと振り返った。