機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)を巡る捜査が違法とされた問題で、保釈が認められず、被告の立場のまま亡くなった同社元顧問、相嶋静夫さん=当時(72)=の遺族が、保釈請求を退けた裁判官の判断は違法だとして、国に計約1億7000万円の賠償を求めた裁判の第1回口頭弁論が29日、東京地裁で開かれた。遺族が意見陳述し、国側は請求棄却を求め、争う方針を示した。 相嶋さんは令和2年、軍事転用可能な機械を輸出したなどの容疑で、同社社長らとともに逮捕された。勾留中の同年10月に胃がんが見つかり、計8回に渡り保釈を申請したが、東京地裁はいずれも認めず、相嶋さんは翌3年に亡くなった。 相嶋さんの妻(77)は意見陳述で、「夫はまだ死にたくなかった。勾留中の夫を受け入れてくれる病院が見つかったときには既に手遅れでした」と涙を流した。 遺族側は訴状で、相嶋さんが長期間の身体拘束を受け、適切な治療を受けられずに亡くなった要因は、身体拘束を継続する判断をした裁判官にあると主張。証拠隠滅や逃亡の恐れなどの理由を安易に肯定し、37人の裁判官が誤った判断を繰り返すなど「構造的・組織的」な問題があったと指摘している。 大川原化工機をめぐっては、同社の社長や相嶋さんの遺族らが、警視庁などによる捜査は違法だったとして国と東京都に賠償を求めた訴訟で、計約1億6600万円の賠償を命じた判決が確定している。 ■遺族ら、裁判官の証人尋問求める 「全ての裁判官が、過去を振り返ると思う」 相嶋静夫さんの長男(52)らは29日、記者会見を開き、保釈を認めなかった裁判官らへの思いを明かした。 長男は会見で、「(かかわった裁判官)37人、全員出てきてほしい。直接聞きたいこともある」として、裁判官への証人尋問を希望した。 次男(49)は「証拠の保全が最優先と言いながら、最大の証拠である父を殺している。どんな言い訳が残っているのか知りたい」と語気を強めた。 訴訟代理人の高野隆弁護士は「この裁判は、裁判官の職責を問うものだ。(保釈請求を退けたことについて)これまで何の説明も得られていない」と訴訟に至った経緯を説明した。