不適正取り調べ、背景は 特捜検事2人、刑事裁判に 識者「在り方見直しを」

取り調べ録音録画が義務付けられた検察独自捜査で、検事による不適正な発言が相次いで発覚している。 10日には特別公務員暴行陵虐罪で付審判が決定した検事の初公判が大阪地裁で開かれる。東京地裁でも同罪で別の検事の付審判請求が認められており、識者は「捜査の在り方を見直すべきだ」と訴えている。 取り調べ録音録画は、2010年に発覚した大阪地検特捜部による証拠改ざん事件をきっかけに本格化。検察独自捜査で逮捕された容疑者の取り調べなどを対象に19年から義務化された。 大阪地検特捜部の取り調べで「検察なめんなよ」と罵倒した田渕大輔検事(54)の付審判を決めた24年8月の大阪高裁決定は「録音録画を確認したであろう検察官が問題視し、内部で適切な対応をした形跡がない」と指摘。「改めて捜査や取り調べの在り方を組織として真剣に検討すべきだ」と求めた。 この付審判請求で代理人を務めた元検事の中村和洋弁護士は「取り調べは検事個人の工夫と努力に任されている。侮辱的な発言をしても許されると考えており、世間との『ずれ』が生じている」とし、弁護人の立ち会いが必要だと訴えた。 東京地裁も先月24日、東京地検特捜部の取り調べで「黙秘を人のせいにするな」と怒声を浴びせた堀木博司検事(57)の付審判を決定した。黙秘する容疑者への取り調べを巡っては、横浜地検特別刑事部の検事も「ガキ」などと発言し、一、二審で国に賠償が命じられた。 複数の司法関係者によると、近年は弁護人の助言を受け、取り調べで黙秘を貫く容疑者が増えている。ある検察幹部は「客観証拠を淡々と示し、供述を得るのが大事だ。たとえ演技であっても怒るべきではない」と語る。別の幹部は「今後は司法取引が重要になるのでは」との見方を示す。 最高検は24年12月、検察独自捜査での取り調べ適正化を求める通知で、「行き過ぎた責任感や、能力を評価されたい功名心が考えられる」と背景を分析。決裁官らに対し、供述が得られないことを責めるような態度を慎むよう求めた。 元検事の郷原信郎弁護士は「特捜部の組織体制を見直し、在宅事件や参考人の取り調べも録音・録画を義務化すべきだ」と提言した。

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