山形国際ドキュメンタリー映画祭などで上映されたドキュメンタリー映画「撃たれた自由の声を撮れ」の本予告がYouTubeで公開された。同作ではタリバン復権を背景に、自由を求めるアフガニスタンの女性たちが「私たちはひるまない」と街で声を上げる闘いの日々が記録されている。 2021年8月、タリバンがアフガニスタンのほぼ全土を掌握し、20年にわたる民主政権が崩壊。タリバン復権によって再び女性たちは街で働く場を失い、教育の機会を奪われることになった。「撃たれた自由の声を撮れ」では、姉妹のラシュミンとナスタランが女性たちと連帯して声を上げ、国の現状を発信すべくスカーフにスマートフォンを隠し撮影する姿を捉えている。血の凍るような危ない思いをしてもなお街に飛び出していくラシュミンたち。家父長制が支配する社会で、監督ザイナブ・エンテザールは暴力に立ち向かう彼女たちの日々に密着した。 予告にはデモに参加する女性たちが「もう沈黙しない」「タリバン=暴力」と書かれたスローガンを手にするさまなどが収められている。 このたび俳優・坂口涼太郎、シンガーソングライター・七尾旅人、映画作家・藤元明緒ら7名のコメントが到着。坂口は「女性たちを黙らせるために撃たれた銃弾はそれほど遠くに届かない。でも、彼女たちの声は国境を越えて、私たちのところまで届いた」、七尾は「悪政の負債を負うのは常に市井の人々だが、その魂と手のひらに灯った火は、尽きることなく手渡されていく。闇の中に取り残された誰かに向けて」とつづる。藤元は「感動したい、笑いたい、泣きたい。映画を映画として楽しみたい。 そんな期待を胸に、劇場の扉を開くことは多いと思う。 ただ、映画は誰かにとっての生命線になることがある。そのことをどうか覚えておいてほしい」と伝えた。そのほかのコメントは下部に記した通り。 「撃たれた自由の声を撮れ」は8月15日より東京・ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開。同じくアフガニスタンの女性監督ナジーバ・ヌーリが母の姿を記録した「ハワの手習い」は8月1日に封切られる。ともに配給は東風が担当。 ■ eri(デザイナー、アクティビスト)コメント 女は通りに出る。女はプラカードを掲げる。女は声を上げる。女は黙らない。女は世界を変えてきた。女は今までもこれからも。 ■ 坂口涼太郎(俳優)コメント 女性たちを黙らせるために撃たれた銃弾はそれほど遠くに届かない。 でも、彼女たちの声は国境を越えて、私たちのところまで届いた。 「口を噤んで静かにしているままだと“不満はない、幸せなんだ”と勘違いされる」 私たちはいま、静かにしていてよいのだろうか。 「どうかタリバンをやっつけてください」と泣きながら祈るこどもの姿を見たあと、私たちはどこに、どんな声を届けたくなるだろうか。 ■ 高島鈴(ライター、アナーカ・フェミニスト)コメント 銃を向けられ、逮捕や死の恐怖に晒されながら、それでも生ある限り抗う。アフガンの女性活動家たちが闘うのは彼女たちが英雄だからではない。 闘う以外に、己の生、隣人の生を守る術がないからだ。 なあ、これを見て黙ってられるか? ■ 七尾旅人(シンガーソングライター)コメント 教育や社会進出の機会を奪われたアフガニスタンの女性たちが、撮影用のスマートフォンやメッセージパネルを衣服の奥に潜ませ、危険な路上へと向かう。 2020年代、政治の私物化が横行する国際社会で引き裂かれてゆく多くの人々を励ますであろう勇敢なハンドメイド・ドキュメンタリー。 現在のタリバンは、アメリカCIAなどのテコ入れで生まれた冷戦下の産物であること、 ムスリムを常に「遅れた存在、危険な存在」として差別的に表象しながら飽くことなき搾取を繰り返してきた西側諸国の一端に我々日本人もいることに留意しながら観てほしい。 悪政の負債を負うのは常に市井の人々だが、その魂と手のひらに灯った火は、尽きることなく手渡されていく。 闇の中に取り残された誰かに向けて。 ■ 菱山南帆子(市民運動家)コメント 女性への暴力と差別はタリバンの再支配から始まったわけではない。米国支配下でも女性への抑圧は無くならなかった。 戦争、経済制裁による深刻な人道危機は女を苦しめる。先進国と言われる中で日本のジェンダーギャップ指数は最下位。 ジェンダー平等実現と反戦平和は表裏一体だ。軍拡で再び世界を脅かそうとしている日本。私たちは国境を越え女性解放の為に闘う女たちと連帯していかなければならない。 ■ 藤元明緒(映画作家)コメント 感動したい、笑いたい、泣きたい。映画を映画として楽しみたい。 そんな期待を胸に、劇場の扉を開くことは多いと思う。 ただ、映画は誰かにとっての生命線になることがある。そのことをどうか覚えておいてほしい。 芸術の根幹を思い出させる、あまりにも切実な映画だ。 ■ 安田菜津紀(メディアNPO Dialogue for People副代表 / フォトジャーナリスト)コメント 「みんなが口を噤んだままだと“不満はない、幸せなんだ”と勘違いされる」 「“静かだから満足しているな”ってね」──そんな彼女たちのあげた声に応えるべきは、世界であり、私なのだ。