大阪地検特捜部が捜査した不動産会社「プレサンスコーポレーション」(当時)が絡む業務上横領事件の取り調べで容疑者を罵倒したなどとして、付審判決定により特別公務員暴行陵虐罪に問われた元特捜部の検事、田渕大輔被告(54)=現東京高検=の初公判が10日、大阪地裁(大森直子裁判長)で開かれた。被告は「取り調べのための言動で陵虐には当たらない」と無罪を主張した。 付審判で検事への裁判が開かれるのは初めて。被告の言動が取り調べの範疇(はんちゅう)を外れ、精神的・肉体的な苦痛を与える「陵虐行為」と評価できるか否かが争点となる。 検察官役の指定弁護士は冒頭陳述で、被告が同社の元部長(61)=有罪確定=に対し、「取調室の中で机をたたき、長時間にわたって容疑者を大声で叱責し、罵倒した」と説明。この行為が犯罪にあたるかどうかの判断次第で「わが国の取り調べのあり方が根底から変わることになる」と訴えた。 「録音・録画映像の問題視無し」弁護側指摘 この日は指定弁護士側の証拠調べが行われ、取り調べ当時、検察内部の監視役の「総括審査検察官」らが録音・録画映像を見ていたのに問題視しなかったと指摘した。 被告側は冒頭陳述や詳しい立証を行わず、閉廷後に「取り調べの一部を切り取り『陵虐』と判断されるべきではない」との声明を発表。取り調べの全過程、取り調べを受けた元部長の認識など「さまざまな観点から主張していく」とした。 付審判制度は、公務員の職権乱用などを巡り、検察が下した不起訴処分に対する「不服申し立て」の手段の一つ。業務上横領事件で逮捕・起訴され、その後無罪が確定した同社元社長の山岸忍氏(63)の請求に対し、大阪高裁が令和6年8月に付審判を決めた。 決定によると、被告は元年12月の元部長への取り調べで、「検察なめんなよ」「いまだに否定するなんて。どういう頭の構造しているんですか」などと怒鳴りながら、約50分にわたり、一方的に責め立てるなどした。 元部長は当初、事件に山岸氏が関与したことを否定していたが、こうした取り調べの後に供述を一転させ、その後山岸氏が逮捕された。