唇縫い付け事件、異様な同居生活の謎…被害女性はなぜ受け入れたのか「心理的な支配をされると絶対に逃げることはできない」“洗脳”の恐ろしさを犯罪心理学者が解説

2026年6月、茨城県古河市で、同居する女性の唇を縫い付けてけがを負わせたとして、櫻井政恵容疑者(50)が傷害容疑で逮捕された。 事件は被害女性の「話せないので電話してください。警察を呼んでください」というメモの訴えから発覚。女性は近所の店に助けを求めたがマスク姿で声を出すことはなく、用意していた紙を差し出したという。女性の唇は糸で縫い付けられていた。 被害に遭った女性がなぜ同居するに至ったのか、なぜ唇を縫われる事態になったのかは不明だ。助けを求められた人によると、女性は取り乱した容姿はなく、マスク越しには唇を縫われたことにも気づかなかったという。 そもそも唇を縫うという行為には、どれほどの痛みが伴うのか。唇の手術などを手掛ける美容外科医のe-clinic横浜みなとみらい院の坂本優衣院長は「今回の痛みをイメージするのに一番近いのが、ボトックス注射。例えば人中のボトックスだと、白い唇のところに針をチクッと刺して薬液を入れる。私もしたことあるが、結構痛い。口は神経が集中している場所なので、刺される時の痛みは(他の部位への注射に比べ)より鋭いものになると思う」と説明する。 さらに、針の太さによっても痛みは変わってくるそうで「皮膚や粘膜というと“膜”を貫通する時が痛くて、その間の組織はそこまで痛みを感じない。裁縫用の針となると医療用よりは太いので、どうしても皮膚を貫通する時の圧が強く、より痛みは強い」と語った。 仮に麻酔なしだった場合はどうなのか。坂本氏は「相当痛いと思う。脂汗をかいたり、涙は生理的に出る。手数少なく刺されば痛みは少ないが、相手が動いて抵抗して手元が揺れたりすると、それだけで傷も増える」と話した。 信じがたいほどの痛みを受け入れた事件と言えば、大阪で起きた猟奇的事件がある。被告の女(24)は交際相手の男性の乳首をハサミで切断。さらに「許してほしかったら左手の薬指切れ」と、男性の薬指を斧で切断。男性は指を欠損したが示談が成立し、懲役3年、保護観察付執行猶予5年の判決が下された。 2つの事件では「なぜ逃げなかったのか」という疑問が残るが、唇を縫われた女性も「怖くて逃げられなかった」と証言している。 犯罪心理学者の出口保行氏は「逃げられたはずでしょ?でも逃げなかったんだから、本当はいたかったんじゃないの?みたいな話になってしまう。心理的な支配をされてしまうと、逃げるなんてことは絶対にできなくなる。だから言いなりになるしかない」と解説。 一方、今回の事件では「唇を縫う」という行為までは受け入れたにもかかわらず、その後脱出し助けを求めている。出口氏は「心理的な拘禁が始まる時、徐々に相手も慣れていってしまう。これはモラルスリップという現象」だと語った。 モラルスリップとは、道徳的な判断やルールからの逸脱が徐々にエスカレートしていくことを指す心理学用語。最初は「これぐらいなら許されるだろう」という小さな悪ふざけや、軽いルール違反から始まり、それが習慣となり大胆になっていくことで重大な犯罪などに至ってしまう。被害女性もそのような過程を経たのではないかと出口氏は見る。 「唇を縫うというあえて大胆な行動に出た。要するにモラルスリップの範囲を超えてしまった。逆に被害者はハッと我が身を振り返る。このままいったら殺害されるんじゃないか、という恐怖を持った。モラルスリップの範囲を超えてしまったことが、救出を求めたことに繋がっている」(出口氏)。 女性の腕や足には複数のあざがあったことから、日常的に暴行を受けていた可能性があるという。唇を縫い付けたとされる行為はその延長線上にあったのだろうか。 警察は櫻井容疑者の自宅を家宅捜索し、押収品を調べるとともに共犯者がいるか、さらに2人の関係性について捜査を進めている。櫻井容疑者は縫ったという事実を否認しているという。 (『ABEMA的ニュースショー』より)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加