《ブラジル》鉱山・エネルギー相=「日本人を満載したトラック」発言=日系弁護士が人種差別容疑で申し立て=連邦検察庁に刑事・倫理両面から

ジャーナリストで弁護士、奥原マリオ純氏は、アレシャンドレ・シルヴェイラ鉱山・エネルギー相が7月30日に行った発言を受け、連邦検察庁(MPF)および大統領府倫理委員会に対し、それぞれ申し立てを行った。問題となったのは、天然ガス販売の新制度に関するイベントで同相が述べた次の発言だ。「経済主体が行政担当者を訪ねる際には、『日本人を満載したトラック』のように扱われなければならない。つまり全員が同じであり、特定の事業者だけをえこひいきしてはならない。少なくとも国民のために行政を担う者は、そうあるべきだ」。この発言は報道機関によって伝えられると全国的な波紋を呼び、日系社会からも強い反発の声が上がった。 オクハラ氏は連邦検察庁への申し立てで、人種差別犯罪に該当する可能性について捜査を求めた。一方、大統領府倫理委員会には、公職者としての倫理違反に関する審査を開始するとともに、大統領に対して行政上の措置、場合によっては同相の更迭を勧告するよう要請した。 シルヴェイラ氏はその後、「軽率な失言だった」と認め、「一般に使われる言い回しだった」と釈明。しかし奥原氏は、「日本人という民族集団の身体的特徴を『全員が見分けのつかない存在』の比喩として用いたこと自体が、長年にわたり日本人や日系ブラジル人に向けられてきた固定観念を再生産する行為だ」と指摘している。 両申し立ては、ブラジル政府がヴァルガス独裁政権期から戦後にかけて日本人移民とその子孫に対して行った迫害の歴史にも言及。そこでは、日本語学校の閉鎖、日本語使用の禁止・検閲、恣意的な逮捕、財産没収、さらには強制収容所への収監など、一連の人権侵害が列挙されている。 特に1943年7月8日には、政令第4166号(1942年)に基づき、サントス市に居住していた約6500人の日本人・日系人が48時間以内の退去を命じられた。住居や商店、学校を追われた家族は列車でサンパウロ移民収容所へ送られ、その後、多くがトラックで州内各地へ移送された。この事件はブラジル沖縄県人移民研究塾が刊行した『群星』にも被害者の証言が記録されている。 申し立てでは、このような歴史的背景がある以上、大臣の発言は「特別な歴史的感受性」を伴うものであり、本人に過去の迫害を想起させる意図がなかったとしても、政府高官による発言として「日系社会が経験した迫害と強制移送の記憶と不可避的に重なり合う」と主張している。 さらに、2024年7月25日に恩赦委員会が、日系ブラジル人に対する国家による重大な人権侵害を公式に認め、謝罪した事実にも言及。「国家が過去の過ちを認めた直後に、同じ国家の閣僚が民族的固定観念を助長する発言を行ったことの社会的影響は極めて大きい」と指摘している。 連邦検察庁への申し立てでは、連邦憲法が定める「人間の尊厳」と「法の下の平等」(第1条第3項、第5条)に加え、人種・民族差別を犯罪と定める法律第7716号(1989年、2023年法律第1万4532号により改正)を法的根拠としている。 一方、大統領府倫理委員会への申し立てでは、「連邦政府高級行政官行動規範」および利益相反防止法(法律第1万2813号)を引用。政府高官には高い倫理性、品位、公平性、そしてあらゆる国民に対する敬意が求められており、今回の発言はその基準に反する可能性があるとしている。 奥原氏は、今回の問題は一個人の名誉感情にとどまるものではなく、「国家の最高レベルの公職者による発言が、歴史的に少数派に向けられてきた偏見を再び社会に浸透させる危険性を持つ公共性の高い事案である」と訴えている。 なお、本紙締め切り時点までに、鉱山・エネルギー省から正式なコメントは出されていない。

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