ABEMAにて、1月9日放送予定のドラマ『警視庁麻薬取締課 MOGURA』。本作はラッパーの麻薬使用を一斉摘発する為に、極秘裏に潜入捜査をすることになった実話をベースにした物語。また、Jin Dogg、Red Eye、CYBER RUI、G-k.i.d、Mummy-Dら人気ラッパーたちが出演する。 「ラッパーはリアルしか歌わない」 この絶対的なルールにより、ラッパーそれぞれの生き様がリンクする本作。今回は主人公・伊弉諾(いざなぎ)を演じた般若に、ドラマ初主演で苦労した点や「大麻」をテーマに掲げた本作の捉え方などについて聞いた。 ・ライブも禁止 主演として役に向き合った撮影期間 ーー般若さんは本作にて、主役を務められます。 般若:主役というお話を頂いたときは驚きましたね。芝居の仕事は色々させて貰ってきましたけど、僕はずっと脇を固めるような役が多かったんで。もしくは飛び道具みたいな、死ぬか捕まるか、みたいな役とか(笑)。それもあって「自分は主役ではない」と思ってたんですけど、今回はそうではなく、主役を任せて貰うことになったんで驚いたんですけど、ひとつ頑張ってみようと。 ーー当然ですが、主役ということは全編に渡って登場することになり、ドラマにとって座長になりますね。 般若:演じるという部分に関しては少なからず経験してるけど、やっぱり主役なんで、シーンも多いし、緊張もありましたよ。経験上、「これはしっかりと向き合わないといけないな」と感じてたんで、この撮影期間はライブも一切やらなかったし。しかも、こんなヒップホップフェスみたいなアーティストが揃うドラマの主役ですからね(笑)。 ーー今回はラッパーも数多く登場されるそうですね。 般若:ジェイク(Jin Dogg)とは映画『Sin Clock』で一緒になってるし、ほかにもドラマや映画に出演してるラッパーはいるけど、ほとんどの奴は今回が初めてのドラマ出演になるんじゃないかな。だから、みんなの登場シーンは超楽しみにしておいた方がいいと思います。第一話を何人かで一緒に見たんですけど、やっぱり爆笑しましたよ。演技の上手い下手じゃなくて、「こんなところにこんな人が出てくるんだ」「え、こいつがこんな役?」みたいな驚きで。だから、ヒップホップを知ってる人ほど最初は話が入ってこない可能性があるから、二回目ぐらいから没入して観ることになると思いますね(笑)。 ーー名前のあるラッパー、アーティストばかりなので、MVを含めて様々な映像に出演しているとは思いますが、それでも映像慣れと、ドラマでの演技はまた違うといいますよね。 般若:やっぱり経験しないとドラマの演技を理解するのは難しいですからね。でもホントにみんな頑張ったと思いますよ。初めての演技の現場がドラマで、しかも相当特殊な内容と構成だから、きつく感じた人もいるだろうし、本当によくやったなと。 ・「そこにリアルがあるんじゃないかなと」大麻に関する“裏の考え方”まで描く ーー「特殊な内容」の一つには、「大麻」がテーマとなってる部分があります。 般若:そう。とんでもないテーマを扱っているんで。 ーー大麻を規制すること、罰することのイデオロギー的な是非はひとまず脇に置くとしても、大麻の所持や使用は、日本の法律上は基本的には禁止されています。同時に、その法を破って逮捕される人も少なくはありません。特にヒップホップシーン、アートシーンは密接だと思われている節がありますね。 般若:ラッパーやヒップホップ関係の人間が大麻で捕まることには、もう別に驚かないし、切っても切り離せないものだと思いますよ。綺麗事を言うつもりはないからはっきり言いますけど。俺個人としては、否定も肯定もしないっていうか、お前が選べばいいと思ってる。でもいまの話のように、単純にこの国では逮捕されてはいるし、一方で、日本以外の国ではオッケーだったり、微罪の国もある。それはなんでなの? じゃあどうすんの? というのは考えますよね、実際、その辺についてもこのドラマでは提示しているんですよね。 ただ単に大麻にフォーカスを当ててるんじゃなくて、その裏にある考え方だったり、守るべきもの、受け継いでいくものも色々あるんじゃないか、みたいな。目を逸らせない、目を背けられないドラマだと思うし、そこにリアルがあるんじゃないかなと。ドラマに(ドラッグを取り扱うショッキングな内容という)偏見を持たないで欲しいなと思いますね。 ーー般若さんはヒップホップグループに潜入する刑事の伊弉諾として登場されます。 般若:伊弉諾は真っ直ぐで不器用な、あんまり表裏がない奴なんですよ。そして、自分が大事にする人に対して、頑張れるタイプ。そういう奴が潜入捜査という、「嘘をつき続ける」行動をすることになるから、そこで生まれる葛藤だったり、そこでマインドがどう変わっていくのか、そしてなにが変わらないのかみたいな部分にも注目して欲しいですね。自分としても、それは演じる上で大事にしたことなんで。そして、その不器用な男に、みんなが気持ちを持っていかれたり、惹かれてくれたら本望です。 ーー「リアルしか歌ってはいけないという不文律」に葛藤するということもテーマにあるそうですね。これは原案としてクレジットされている漢 a.k.a. GAMIさんが、MSCとして活動されていた頃からテーマとしていたことだし、基本的にヒップホップのテーゼとして広く認識されていることでもあります。 般若:それがあるから面白いんじゃないですかね。伊弉諾は警察の顔と、ラッパーの顔という二面を使い分けなくちゃいけないけど、そこで「リアル」には当然葛藤する。その存在に注目して欲しい。 ーー警察という役柄についてはどう感じられましたか? 般若:いや、別にそこに対してはなにも。これはドラマだから。それこそフィクションなんで、別に現実の自分と重なる訳では無いし、警察に偏見もないんで。ただ、役作りは考えましたけどね。刑事はそんなに線が細くないだろうってことで、体重を増やしたりとか。リサーチももちろんありますよ。それは役柄の「気持ちの部分」として持っておきたいし、気持ちが離れないようにしなきゃなと。 ーー役者陣には成海璃子さんや吹越満さんが顔を揃えます。 般若:ベテランの人の演技を間近で見れるっていうのは、ホントに贅沢なことだと思いますね。もう予想を超えてくることは全然分かってるんだけど、本当に掴ませてくれない芝居もあったり。 ーーそれが般若さんをはじめとするアーティストたちとどのように絡むのか、楽しみでもあります。 般若:非常に刺激的な内容になっていますんで、月並みですけど楽しみにして欲しいですね。