陸で麻薬カルテルの脅迫、沖合では米軍の攻撃 エクアドル漁師に助け舟なし

エクアドルでは漁師らが、陸上で麻薬カルテルの脅迫、海上では米軍とみられる攻撃という二重の危険に直面している。同国と米国の密輸取締作戦が激化する中、専門家は最も弱い立場の人々がリスクを負わされていると指摘する。 ◇ エクアドルの漁師たちは、自分たちに逃げ場はないと訴える。 陸ではコカイン輸送を手伝わせようとする有力な麻薬カルテルから恐喝を受け、沖合では麻薬密輸の疑いのある船舶を標的とした米国主導の対麻薬作戦に巻き込まれているという。 漁船の船長、エルナン・フローレスさんは15人の乗組員とともに沖合に出ていた時、ドローンから攻撃を受けた。乗組員らは小型ボートに飛び乗り、近くにいたマグロ漁船と思われる船に逃げ込んだ。 しかしフローレス船長によると、そこで遭遇したのは軍服のような服装をし、英語を話す武装した男たちだったという。同船長は手を上げるよう命じられ、その後、頭に覆いをかぶせられたという。乗組員によると、彼らは洋上でエルサルバドル海軍の艦艇に移送され、エルサルバドルに連れて行かれた後、医療手当を受け、民間航空便で帰国したという。 ロイターの取材に応じた安全保障の専門家3人は、米南方軍がこの海域で継続的にボート攻撃作戦を実施していることを踏まえると、今回の攻撃はほぼ確実に米国によるものだと指摘した。米南方軍は「作戦上の機密保持と部隊防護の観点」から、攻撃についてのコメントを控えている。 攻撃を受けた際に乗船していた乗組員は、船に麻薬は積まれていなかったと述べた。また、ドローン攻撃の数時間前にエクアドル沿岸警備隊による検査を受けていたという。 一部の漁師は、麻薬取引を断るのは容易ではないと話す。近年、エクアドルで最も勢力のある犯罪組織のうち二つが、漁師に麻薬の運搬を強要している。ロイターの取材に応じた関係者によると、麻薬の運搬を拒否した者は恐喝や報復を受ける可能性があるという。 一部の漁師は、1回出漁するごとにギャングから約1200ドル(約19万円)もの、月収をはるかに上回る法外なカネを要求されると証言した。 こうした圧力は、米国、エクアドル、エルサルバドルが東太平洋全域で対麻薬共同作戦を拡大している中で高まっている。米沿岸警備隊は、4月までに約90トンのコカインを押収し、密輸業者と見られる160人を逮捕したと発表した。 だが洋上で船舶を標的にする手法が麻薬取引の抑制に大きな効果を持つのか、専門家は疑問視している。 エクアドルのグアヤキル大学の組織犯罪の専門家、ミシェル・マフェイ氏によると、コカインの積荷の大半は依然として大規模な商業港を経由して運ばれているという。同氏は、麻薬取引のリスクは選択肢の最も少ない人々に降りかかることが多いと指摘した。 組織犯罪の専門家 ミシェル・マフェイ氏 「組織犯罪の特異な点は、その収益性の高さゆえに高い報酬を提示できることだ。だが同時に、組織犯罪はその根本的な特質を理解している。つまり、誰でも代わりが利くということだ」

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