北海道函館市で、殺人未遂の罪で起訴された男が、入院していた病院から逃走し、行方がわからなくっていることが明らかになりました。 病院から逃げ出したのは、大川清被告(77)です。 その日、病院に来ていた人に話を聞きました。 当日 午後4時まで病院にいた人 「(Q.病院の中は)普通、いつも通り。お盆休みの最終日だから、お見舞いに来る人も多かった」 当日 午後5時まで病院にいた人 「(Q.パトカーが止まっていた)なかった。(Q.不審に思ったことは)何もない」 検察と警察が男の行方を追っていますが、逃走から2日経ったいまも見つかっていません。 大川被告が逮捕されたのは、6月。自宅で、妻の頭を何度も金づちで殴ったとする殺人未遂事件です。当時、大川被告自ら通報して、事件が発覚。容疑を認めていました。 夫婦を知る人 「朝、警察車両とか止まっていて。家の窓からお母さんが救急車で運ばれるところが見えたので。何か事件かなと」 (Q.男は見ていない)そのときは見てない。多分、中にいたと思う。 夫婦を知る人 「仲良く、ニコニコしながら、道を歩いて、2人で買い物に行くような感じ。病院から逃走したって、どうしちゃったのかなと。家が近いから、自分の家を目指して戻ろうとしているのかなと」 大川被告は、函館市内の施設に勾留されていました。ところが、病気で治療が必要となり、16日朝、勾留の執行停止が認められます。入院先の病院を抜け出したのは、その日の夕方ごろでした。 今回、大川被告が逃げ出したことで、勾留の執行停止は、その日のうちに取り消されました。 正当な理由なく、いなくなった場合は、制限住居離脱罪に問われたり、殺人未遂事件の判決が重くなったりする可能性があります。 気になるのは、殺人未遂事件の被告が逃走して、1日半以上、検察が事態を公表しなかったことです。 その理由について。 函館地検 「殺人未遂事件の被害者だった妻の安全が確保されたこと。被告が他人に危害を与える恐れはないと考えたこと。公表により、かえって地域住民の不安をあおり、生活を脅かす恐れがあると判断した」 病院内での監視体制に「問題があったとは考えていない」と、具体的な状況を明らかにしていません。そして、あくまで一般論として、「勾留執行停止で検察官や警察官が監視につくことはない」としています。 ただ、殺人未遂事件があった現場の周辺からは、不安の声が上がります。 近隣住民 「早く見つかってほしい。いくら重い病気をしていたりしても、戸締りには気をつけなければ」 函館地検、次席検事のコメントです。 函館地検 志村敬次席検事 「被告人が所在不明となり、国民の皆さまに不安を与えかねない事態となったことは、誠に遺憾である」 ◆『勾留の執行停止』とはどういうことなのでしょうか。 刑事訴訟法の第95条に『裁判所は“適当”と認めるときは、勾留されている被告人を親族などに委託、または住居を制限して、勾留の執行を停止できる』と定められています。多くは、弁護人側が執行停止をうながし、裁判所が職権で決定します。 ◆“適当と認めるとき”とは、具体的にはどんな場合なのでしょうか。元大阪地検の検事を務めた亀井正貴弁護士に聞きました。 亀井弁護士は「大前提として、“逃亡の恐れが少ない”と裁判所が判断した場合。そのうえで、拘置所では対応できないような重い病気で入院・手術する必要がある。親や配偶者など身近な親族が死亡し、通夜に出席するなど、このような場合に、期間を定めて勾留の執行停止が認められるケースがある」ということです。 「勾留の執行停止は、人道上の配慮なので、基本的には監視をつけないが、所在などを確認するケースもある」としています。 ただ、今回、執行停止中に被告が逃走するという事態になったことについて、亀井弁護士は「執行停止の必要性の判断を、裁判所がどう行ったのか。病気の重さにもよるが、逃亡するかどうかの判断を見極められていなかったのでは」 としています。また、検察側が『被告人が他人に危害を与える恐れはない』などとして、1日半以上、事態を公表しなかったことについては、「逃げる体力が残っているということは、一般人に危害を加える可能性も十分に考えられる。住民も“実は逃げていました”と言われる方が不安。用心・警戒のためにも、早い段階での公表が必要だったのでは」と指摘します。