米ドナルド・トランプ政権と国際刑事裁判所(ICC)の対立が続いている。マルコ・ルビオ米国務長官は18日(現地時間)、声明を発表し、「ICCによる権力乱用の問題を解決するため、日本国籍の赤根智子ICC所長とセネガル国籍のアブドゥライ・セイェICC首席公判法律家を制裁対象に指定する」と明らかにした。その上で、両氏が「ICCの管轄権に同意していない国の当局者を調査、逮捕、拘禁、または起訴しようとするICCの取り組みに直接関与した」と主張した。 米国務省は「赤根所長への制裁は日本政府に向けたものではない」としながらも、日本を含む同盟国に対し「ICCへの支援を停止することを期待する」との立場を示した。米財務省外国資産管理局(OFAC)も同日、赤根所長ら2人を制裁対象となる特別指定国民(SDN)リストに追加した。 ICCは声明を通じ、トランプ政権による新たな制裁は「法の支配を損なうものだ」とし、「裁判所はこれに屈することなく、職員や想像を絶する残虐行為の被害者を今後も断固として支持する」と表明した。続けて「ローマ規程に基づき、国際犯罪の被害者の利益のために独立性と公平性を維持し、任務を完全に遂行する」と強調した。高市早苗首相も制裁について「非常に遺憾だ」との立場を示した。 ICCは、国際犯罪を犯した個人を処罰するための常設の国際裁判所で、2002年にオランダ・ハーグに設立された。戦争犯罪や大量虐殺などの人道に対する罪を犯した国の元・現職国家元首や高官らを起訴し、処罰してきた。 トランプ政権は、米国がローマ規程の締約国ではなく、ICCには米国人を裁く管轄権がないと主張し、ICCと対立してきた。対立はトランプ大統領の第1次政権期にさかのぼる。2020年、ICCがアフガニスタンで発生した米軍や米情報機関関係者による戦争犯罪の疑いについて捜査に乗り出すと、トランプ大統領はICC関係者やその家族に対し、資産凍結や米国への入国制限などの制裁を科した。 トランプ大統領は第2次政権発足直後の昨年2月にも、ICCがベンヤミン・ネタニヤフ首相らイスラエル指導部に対する逮捕状を発付したことを受け、ICCを制裁する大統領令に署名した。その後、トランプ政権はICC関係者を相次いで制裁対象に指定してきた。この日、制裁対象となったセイェ氏は、ネタニヤフ首相に対する逮捕状を請求したICC検察チームの首席公判法律家だ。 ルビオ長官は「国家主権に対するICCの脅威を解体するための、わが政府の全面的なキャンペーンは大規模に展開される」とし、「より多くの国が、政治化され責任を負わない裁判所への資金提供や関与を停止することで、このキャンペーンに参加することを期待する」と述べた。さらに「トランプ政権は、ICCが米国の主権を脅かすことができなくなるまで、ICCを体系的に解体するための追加措置を取る準備ができている」と強調した。 ロイター通信は「米国の措置は、トランプ政権によるICCへの攻勢を拡大するものだ」と評価した。米国内外では、米国がイラン戦争初期に起こしたイラン女子小学校への誤爆事件や、カリブ海で麻薬運搬が疑われる船舶を攻撃した作戦などが戦争犯罪に該当する可能性があるとの指摘が出ていた。 これに伴い、今回の制裁には、これらの事件に対するICCの捜査などを阻止する意図があるとの分析も出ている。ルビオ長官はこれまで、トランプ政権による、麻薬運搬の疑いがある船舶への攻撃作戦に参加した兵士らにとって、ICCが脅威になり得ると主張していた。