メディアが騒ぐほど習近平は笑っている…日本人も標的にした「危険な新法」を3カ月以上寝かせていた本当の理由

2026年7月、中国で施行された「民族団結進歩促進法」が国際社会から強い批判を浴びている。中国法研究家の高橋孝治氏は「公布から施行まで3カ月以上のタイムラグがあったのは偶然ではない。この法律に対する批判が起きること自体が中国の計算通りだ」という――。 ■国と社会に「民族統合の推進」を義務付ける 2026年7月1日から、中国では「民族団結進歩促進法」という法律が施行されています(公布は2026年3月12日)。その内容を端的に言えば、「共産党の指導下で『中華民族共同体意識』を全社会に浸透させ、言語・文化・経済・人的交流の各面で民族統合を進めることを国家・社会全体に義務付ける法律」といえます。 中国は、約91%を占める漢族(漢民族)と、政府に公認された55の少数民族で構成される多民族国家とされています(詳細は後述)。チベット自治区や新疆ウイグル自治区など一定の地域では民族独立を求める動きがあり、中国国外の識者やメディアからは、少数民族に漢族への同化を強要する「人権抑圧」的な法律だと非難する声も上がっています。 日本など中国以外の国でとりわけ注目を集めているのは、「(中華)民族の団結と進歩」を阻害した国外の組織や個人に対しても、「法に基づき法的責任を追及する」としている点です(第六章 第六十三条)。具体的にどういう行為が「民族の団結と進歩を阻害」するとみなされるのかは、条文では明確に定義されず、抽象的な表現にとどまっています。 もし日本人が少数民族の独立運動に対して共感の言葉を示したり、何らかの形で支援を行ったりすれば、それは中国当局によって法的な責任追及の対象になることを意味するのでしょうか。そのリスクを正確に見積もるためには、そもそも「民族団結進歩促進法」がなぜ制定されたのかを冷静に考える必要があります。

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