フランスで"買う側"を罰したらセックスワーカーの42%に「暴力増加」…日本の処罰検討への強烈な違和感

約70年ぶりに、売春防止法が大きく見直されようとしている。セクシュアリティやジェンダーに詳しいライターの三浦ゆえさんは「改正の内容によっては、性風俗業界を大きく揺るがす可能性もある」という――。 ■70年ぶりに「売春防止法」改正か 性風俗はとかく、イメージで語られがちだ。街には風俗店があり、ドラマや漫画にも登場する一方、「風俗店摘発」「スカウト業者逮捕」といったニュースも流れる。風俗に関する法律があることは知っているものの、「アウトなのかセーフなのか、よくわからない」というのが大方の見方だろう。 今、法務省では、約70年ぶりに「売春防止法」の見直しを進めている。「売買春に係る規制の在り方検討会」を経て、今秋の臨時国会で改正法案が提出される見通しだ。これまで処罰対象ではなかった“買う側”に罰則を設けるか否かが、焦点のひとつになっている。 1956年に制定された売春防止法は、金銭等の対価を伴う不特定の相手との性交を「売春」と定義し、禁止する法律である。制定当時は、社会の風紀や性道徳を守ることに重点が置かれ、売春する女性は補導・更生の対象だった。2024年に女性への支援は別の法律に移されたが、売春防止法には現在も「性道徳」「社会の善良の風俗」という理念が残っている。 ただし、売買春そのものに対する直接の罰則はない。そのため意外に思われるかもしれないが、売春防止法では、“売る側”だけ処罰される場合がある。公衆の目に触れる形での勧誘や客待ちなどは「勧誘等罪」にあたるからだ。一方、買う側には対応する罰則がない。「それは不公平では」と感じる人が多いのも当然だろう。 ■見直しのきっかけになった事件 今回の法改正への議論を後押しした事件のひとつが、東京・大久保公園周辺のいわゆる「立ちんぼ」の逮捕だ。2025年、過去に公園周辺に立って客待ちをくり返した容疑で女性4人が逮捕され、メディア各社は顔出し、実名で報道した。買う側は逮捕されることなく、女性だけが社会的に“晒された”ため、「おかしい」という声が多数上がった。そう感じるのも無理はない。 さらに同年、タイ国籍の少女が、東京都内の個室マッサージ店で客の男性相手に性的な行為を強いられていたことが発覚した。少女はわずか12歳。その後、店の経営者と従業員は逮捕され、母親もタイで人身取引などの罪で実刑判決を受けた。しかし、70人といわれる“客”はひとりも逮捕されていない。SNSを中心に「なぜ客が逮捕されないのか」という怒りの声が噴出した。 これらの件が同年秋の臨時国会でも取り上げられ、高市早苗首相が売買春に係る規制について「必要な検討を行う」と答弁。2026年3月から法務省の有識者検討会で議論が続けられてきた。

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