極右の覆面集団が港湾で抗議活動を行う理由 英南部

(CNN) 6日夜、英イングランド南部で移民を乗せた小型ボートが海岸に到着した後、目出し帽をかぶった数百人の抗議者が道路を封鎖し、警官隊と衝突した。英国では同週末、これより前にも別の場所で大規模な反移民デモが起きていた。 沿岸都市のポーツマスで撮影された現場の映像には、主に黒い服を身にまとった抗議者たちが「ボートを止めろ(stop the boats)」や「死ぬまでイングランド人だ(I’m England ‘til I die)」と叫ぶ様子が映っている。 極右の扇動者からなるこの集団は当初、救命ボートによる移民の陸揚げを阻止しようと試みた。その後、亡命希望者を審査施設へ運ぶバスを遮断しようと、道路上で抗議活動を行った。 警察との対峙(たいじ)状態は、7日未明まで続いた。 当該の抗議活動は、「パトリオット・プラットフォーム」という団体によって組織されたものとみられる。同団体を率いるダニエル・トーマス氏は以前、反イスラムを掲げる極右政治活動家トミー・ロビンソン氏と協力関係にあった人物。 同団体は自らをキリスト教徒による「愛国者の軍隊」と称する。トーマス氏は抗議の理由について、「子どもや国への愛、そして何よりも子どもたちに残す未来のためだ」と述べている。 英国メディアの報道によると、「ダニー・トモ」の名でも知られるトーマス氏は、2016年に誘拐未遂の罪を認め、収監された経歴がある。 極右の過激主義に反対し、パトリオット・プラットフォームの動向を追跡する英国の擁護団体「ホープ・ノット・ヘイト」は今回の事案について、「反移民の自警団的行動が増加し、公の場で表面化している傾向を示している」と指摘している。 その上で「パトリオット・プラットフォームや、同団体と連携する小規模なグループは、治安が悪化する英国において警備という公益活動を行っているという名目で、自らのイデオロギーを広めている。しかし実際には、メンバーが目出し帽をかぶって街を練り歩き、暴力的な犯罪歴も明るみに出ている以上、同団体を『安全を第一に考える地域団体』だと他者に納得させることは困難だろう」との見解を示した。 英内務省は声明で、ポーツマスで起きた「威圧的かつ暴徒のような振る舞い」を非難。「平和的な抗議を行う権利は我々の民主主義の根幹をなすものだが、それが無秩序な状態へと一線を越えるようなことがあってはならない」と強調した。 5日にはドーバーでも同様の抗議活動が行われた。交通量の多い同港で撮影されソーシャルメディアに投稿された動画には、同じく覆面を着用し黒い服を着た男たちの集団が、幹線道路で腕を組み、「ボートを止めろ」と叫ぶ様子が映っていた。英仏間を結ぶフェリーが発着する港へのルートが、これらの団体によって封鎖された。英道路公団(ナショナル・ハイウェイズ)によると、この抗議活動により、5日朝には約6.4キロに及ぶ渋滞が発生した。 ケント州警察は、ドーバーでの抗議活動で逮捕者は出なかったと発表した。ハンプシャー・ワイト島警察によると、ポーツマスでも逮捕者は出なかったものの、警察官への暴行や車両の損壊、その他の犯罪行為に関与した人物を特定するための捜査が開始されたという。 内務省の統計では、小型ボートで英仏海峡を渡る移民の数は20年以降で最低水準にまで減少しているものの、移民問題は依然として英国で最も激しい議論を呼ぶ政治課題の一つとなっている。

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