沖縄米兵の強盗殺人事件、政府は対応急ぐ 大規模軍事演習への影響懸念

Tamiyuki Kihara[東京 5日 ロイター] – 沖縄県で3日に発生した強盗殺人事件で米海兵隊員が逮捕された件に絡み、日本政府が対応を急いでいる。高市早苗首相は5日、所信表明演説の冒頭で急きょ事件に触れた。‌日米は2週間後に大規模な軍事演習を控える。政府内には、国民の対米感情の悪化が安全⁠保障政策に波及することを懸念する声もある。「お亡くなりになった方に謹んで哀悼の誠をささげるとともに、ご遺族の皆さまに心からお悔やみを申し上げる」。高市氏は所信表明演説でこう述べ​た。「このような凶悪な事件の発生は極めて遺憾であり、日本政府として米側に強く抗議」した上で、捜査への全面的な協力と米軍関係者の綱紀粛正、事件の再発防止の‌徹底を「強く求めた」とも語った。事件への言及は、当初の演説原稿にはなかったものだ。高市氏は米兵が沖縄県警に逮捕された4日にも、自身のソーシャルメディア「X」で同様の内容を投稿。「政府として、本‌件事案の対応につき、万全を期してまいりま‌す」とも発信した。この日は茂木敏充外相も米のグラス駐日大使を外務省に​呼び出し、「極めて残忍で凶悪な事件の発生は極めて遺憾であり、強い憤りを覚える」と強く抗議した。日本外務省によると、‌グラス氏は人命が失われたことに対し「深い遺憾の意」を表明。日本側の捜査に全面的に協力し、事件の発生防止のためにできることは全て行う‌などと発言したという。自衛隊と米軍は19─29日、大​規模な共同統合演習「キーン・ソード」を実施する予定だ。防衛省によると、自‌衛隊からの参加規模は隊員約4万5千人、車両約6100両、艦艇約40隻、航空機約260機に上る。日本の複数のメディアによると、防衛省は演習で陸上自衛隊⁠の長射程ミサイル「25式地対艦誘導弾」を投入する。九州から中国大陸沿岸部が射程に入り、政府の「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の中心的な役割を担う装備だ。首相官邸幹部は演習を「安全保障上、極めて必要性が高いもの」と位置付けた上で、今回の事件⁠について、「演習の実施に影響を与えないことが重要だ」と話す。安全保障​政策に国民の理解が欠かせないのは、‌政府で広く共有された考え方だ。今回、沖縄県民をはじめとする国民の対米感情が悪化すれば、演習の実施や日米間の安全保障協力全体への風当たりが強まりかねないというわけだ。同幹部は「軍事演習への影響は現時点で分⁠からない」と述べつつ「演習はやらなければならない。事件とは分けて考える必要がある」との認⁠識を示した。一方で、国民の理解を得るためにも捜査を尽くす必要があるとし、再発防止に向けた日米協力の重要性を強調し⁠た。ただ、どのような再発防止策を講じ得るのか、具体策が定まっているわけではない。同幹部は「多くの米兵は規律を守っている」とし、‌すでに深夜⁠から未明にかけて基地外での飲酒や居酒屋などへの入店が禁止されている点に触れ、「これ以​上、何か縛ることは難しいかもしれない」と語った。政府は今後、沖縄県側の意向も聞きながら具体策の検討を進める構えだ。(鬼原民幸 編集:橋本浩)

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