[社説]知事所信表明 負担軽減 試される手腕

古謝玄太知事が就任後初となる県議会で所信を表明した。 前日に国会で所信表明した高市早苗首相と同じく、演説に先立ち、米海兵隊員が女性への強盗殺人容疑で逮捕された事件に言及。米軍に対し捜査への全面協力と、米軍人への綱紀粛正・再発防止の実施を求めた。 首相との違いは、日米政府の責任で地位協定の見直しを含め実効性のある抜本的な対策を講じるよう強く求めた点だ。 県内では女性の命や尊厳が脅かされる米軍関係事件が繰り返し起きている。知事として日米政府へ抜本策を求めるのは当然だ。 問題は、これまでの対策が機能していないことだ。 2016年に内閣府の「沖縄・地域安全パトロール事業」(青パト)が開始されたのは、うるま市で起きた米軍属による女性暴行殺人事件を受けてのことだった。 だが、米軍関係の通報は10年で20件にとどまる。 その後も性暴力事件を受け基地外でのパトロールや兵士の行動規制の見直しなどが行われてきたが、事件は繰り返されている。 背景に米軍基地と兵員の集中があることは明らかだ。 強盗殺人事件を受け首相をはじめ閣僚らは口調のトーンこそ強めているものの、必要なのは根本的な解決策である。 知事はきょう首相官邸で首相と面会し、基地負担軽減を求めるという。 政府は折に触れて「負担軽減に取り組む」としてきたが、県民の実感は乏しい。首相にも断固とした姿勢で具体策を要求すべきだ。■ ■ 知事の所信表明では三つの目標として、今後10年間で1人当たり県民所得500万円を目指す「手取り2倍」と、4年の間に子育て予算を1千億円に増やす「子育て支援2倍」、今後8年間で観光収入2兆円を目指す「観光消費2倍」の「2倍政策」を掲げた。 知事の公約の目玉でもある。先の知事選ではこれらを掲げ、現職の玉城デニー氏に15万票近い大差をつけて勝利した。経済政策へ有権者の期待は大きいに違いない。 ただ、4年の任期では完結しない目標もある。長期的な施策にどう取り組むのか。 今年は6次振興計画の中間見直しに当たる。これらの施策を振計に位置付けるなど、具体的施策に落とし込む必要がある。■ ■ 名護市辺野古への普天間飛行場の移設「容認」も表明した。危険性除去に向けた「現実的な解決策」とするが、政府はいまだに返還時期すら明示していない。あと何年待てばいいのか。その間の危険性除去はどうするのか。 知事は沖縄が直面する課題解決に向けて「県政と政府をつなぐ」とも述べた。 PFAS汚染を巡っては、米軍が3年前に基地由来の可能性が高いとしていたにもかかわらず、日本政府が伏せていた問題も露呈した。政府に対しても言うべきは言う姿勢を貫くべきだ。

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