尹錫悦、実益のない逮捕適否審請求…支持層の結集と裁判遅延狙った布石

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が逮捕当日、直ちに逮捕適否審を請求し、翌日の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の調査にも応じず、「違法捜査」という主張を続けている。 認容(受け入れ)の可能性は低く、逮捕時間を延ばすだけの適否審まで請求するのは、違法捜査という主張で支持層を結集させ、裁判を遅延させることで、6カ月後に釈放される状況を狙っているのではないかという分析もある。 尹大統領の逮捕適否審請求は、公捜処の1次調査が終わった後の15日夜に公開されたが、尹大統領弁護団が適否審を請求したのは逮捕直後の前日午前だった。弁護団は、公捜処は大統領内乱容疑に対する捜査権がなく▽専属管轄のソウル中央地裁ではなくソウル西部地裁に逮捕令状を請求したため、公捜処の捜査および逮捕状の請求が「違法捜査」であり、逮捕状の発給も無効だと主張した。捜査機関が被疑者を逮捕すると、48時間以内に拘束令状を請求したり釈放しなければならないが、逮捕適否審を請求すれば、関連手続きが行われる間は身柄を拘束できる時間が増える。前日午後、尹大統領側のソク・トンヒョン弁護士は記者懇談会で、「(逮捕適否審の請求を)考慮しない」と述べたほど、尹大統領側としては意外な選択であるわけだ。 このように逮捕適否審請求の実益が少ないにもかかわらず、尹大統領側がこのカードを持ち出したのは、政治的目的が隠れているものとみられる。高裁部長出身の弁護士は「逮捕適否審の請求がソウル中央地裁で認容される確率は0%」だとし、「『違法捜査』フレームで政治的なショーをするのが狙いとみられる。実際、支持率の上昇効果をあげているのではないか」と語った。「違法捜査」を争点化し、今後の裁判段階で遅延戦略まで念頭に置いているという分析もある。また別の判事出身の弁護士は「後で裁判で違法逮捕・起訴を抗弁するだろう。このように裁判を遅延させ(1審拘束期間の)6カ月前に釈放されることを考えているのではないか」と話した。 尹大統領が前日、公捜処の調査で陳述をせず、調書閲覧・捺印を拒否したのに続き、逮捕状態でも2日目の調査まで拒否したのも、「違法捜査」という主張の延長線上にある。内乱容疑を全面否定している状況で、生半可な陳述が自分にとって「毒」になるかもしれないという計算もあり得るが、拘束捜査の必要性も大きくなる。ある現職の部長検事は、「最小限の調査にも応じていないのに、逃走や証拠隠滅の恐れがないと判断するのは難しいだろう。拘束の可能性を高める行為」だとし、「捜査手続きについて納得できない理由を挙げながら捜査に応じないことも拘束の理由になりうる」と語った。また別の検事は、「内乱罪は警察にのみ捜査権があるという主張で、公捜処の調査に応じていないが、(起訴のために)検察に事件が移牒された後も、そのような主張を続け、供述を拒否するものとみられる」とし、「供述拒否も憲法上の権利であるため、捜査機関ではどうしようもできない」と話した。 しかし、供述拒否は検事時代の尹大統領の態度とは矛盾している。尹大統領は国政壟断特検捜査チーム長時期、アン・ジョンボム元大統領府政策調整首席が拘束状態でも特検の取り調べに応じなかったことについて、怒りをあらわにし、「明日まで来て陳述しなければ、家族について捜査すると伝えろ」と言ったというエピソードもある。当時、アン元首席は裁判で「覚えている通りに陳述したにもかかわらず、特検が関連陳述を強く要求した。特検が家族のすべての問題を暴くと言い、妻を拘束すると脅し、起訴しないという懐柔も受けた」と主張した。 チョン・ヘミン、ペ・ジヒョン、クァク・チンサン記者 (お問い合わせ [email protected] )

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