81歳のルラ氏、ブラジル史上最高齢での大統領就任…こだわりを捨てSNSも駆使

第1回投票の結果を覆し、決選投票で勝利をつかんだルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領は、今回の選挙戦と同様に波乱に満ちた政治人生を送ってきた。貧しい農家の夫婦の7人目の息子という「貧困家庭」出身で、金属労働者として労働運動を率いて政界入りし、ついには大統領に上り詰め、4選を果たした。 25日(現地時間)、ブラジルの日刊紙「フォリア・デ・サンパウロ」は、2026年の大統領選の決選投票で勝利したルラ氏の生涯を振り返り、同氏が新たな歴史的偉業を成し遂げたと報じた。労働者党(PT)所属のルラ大統領は来年1月5日、81歳で4期目の任期を開始する予定だ。同紙は「ルラ大統領はブラジル史上最高齢で大統領に就任するという記録を更新することになる」とし、「初の労働者出身の大統領であり、大統領として4選に成功した唯一の人物」だと説明した。 工場労働者としての経歴から、歴代大統領のなかで最高の支持率を記録したこと、収監を経て政権に返り咲いたことまで、ルラ氏のこれまでの歩みは「初」の連続だった。ルラ氏は1945年、ブラジル北東部の小さな町ガラヌンスで、貧しい農家の夫婦の8人の子どものうち7番目として生まれた。幼少期にサンパウロへ移住し、幼いころから貧しい家計を助けるために、ピーナッツの行商、染色助手、電話交換手、靴磨き、事務所の雑用係など、さまざまな仕事をしなければならなかった。小学校4年生がルラ氏の学歴のすべてだ。14歳のとき、ネジ工場で初めて正規雇用の職に就き、その後、旋盤工の養成課程を修了し、金属労働者として数年間働いた。17歳のとき、旋盤工として働いていた最中に事故に遭い、左手の小指を失ったこともある。 その後、ルラ氏は金属労働組合で労働者のストライキを率いて全国的に名を知られるようになり、政治家の道を歩み始めた。このとき、本名のルイスを略した「ルラ」というあだ名がついた。独裁政権下で労働運動を率い、国家保安法違反で逮捕されるなど苦難を経験したが、1980年に労働者党の結党を主導し、1982年から選挙に出馬し始めた。1986年にサンパウロ州の連邦下院議員に選出され、本格的に公職での活動を開始した。 ルラ氏はブラジルの民主化後、初めて直接選挙が行われた1989年に、初めて大統領選挙に出馬した。3度の落選と4度の挑戦の末、2002年、57歳で大統領の座に就いた。その後、再選に成功し、2010年まで憲法で認められた8年の任期を全うして退任した。憲法に則り再び立候補が可能となると、2022年に3選を果たし、2026年には再び勝利して4選を果たした。 12年近くにわたり大統領を務めたルラ氏の主な業績としては、貧困からの脱却、福祉の拡大、経済成長、外交力の向上などが挙げられる。まず、ルラ氏の最優先目標は、現金給付などを通じて貧困層を絶対的貧困から脱却させ、貧富の格差を解消し、ブラジルを経済大国へと飛躍させることだった。貧困層の家庭が子どもを学校に通わせ、予防接種も受けられるようにする福祉政策「ボウサ・ファミリア」が、ルラ氏の代表的な政策だ。最低賃金の引き上げ、庶民の家計所得の向上、アマゾン熱帯雨林の破壊阻止、先住民の主権保護などもルラ氏が主導した。グローバルサウス(南半球)地域のリーダーであり、世界の進歩陣営の主要な指導者として、ブラジルの外交力を向上させたことも、ルラ氏の重要な功績として評価されている。2000年代後半にブラジル経済の黄金期を築いたルラ氏は、任期を終えて2010年に退任した際、87%という、誰もが再び達成するのは難しいほどの高い支持率を記録した。 後継者のルセフ氏に大統領の座を譲って退任した後、2018年、ルラ氏は政治人生における最大の危機に直面した。汚職と資金洗浄の容疑で捜査対象になったのだ。控訴審で懲役12年の判決を受け収監されたルラ氏は、約1年7カ月の獄中生活を経て出所した。2021年、ブラジル連邦最高裁は、捜査の不公正さと裁判手続き上の問題を理由にすべての処罰を無効とし、ルラ氏を復権させた。その後、2022年の大統領選に再び出馬し、極右のジャイル・ボルソナロ大統領を破って3選を果たし、華々しく政界に復帰した。 ルラ氏が4選を果たすまでの道のりも決して平坦ではなかった。4日の第1回投票では野党の大統領候補であるフラビオ・ボルソナロ上院議員に敗れ、決選投票で勝利する見通しが暗くなった。1985年の民主化後に行われた大統領選挙で、第1回投票で敗れた候補が決選投票で逆転した例は一度もなかったからだ。3位と4位に入った少数政党の候補もボルソナロ候補への支持を表明し、ルラ氏を追い詰めた。インスタグラムやフェイスブックでは、ルラ氏に関する投稿の表示が制限される事態も起きた。 それでもルラ氏は、残された3週間で庶民層に訴えかける公約を次々と打ち出し、最後の勝負に出た。ブラジル上院も週5日制の導入法案を可決し、後押しした。個人の携帯電話さえ持っていなかったルラ氏は、こだわりを捨てて自分用の携帯電話を用意し、インスタグラムに自ら撮影した動画を投稿するなど、これまでとは違う姿をみせた。ルラ陣営は、決選投票当日の25日、公共交通機関の問題などを理由に、投票終了時刻を2時間延長するよう連邦最高裁に急きょ要請し、最後まで緊張の糸を緩めなかった。ブラジルの大手メディア「G1」は「史上類を見ない大逆転劇」と評した。キム・ミヒャン記者 (お問い合わせ [email protected] )

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