ソフィア・コッポラが打ち明ける『ロスト・イン・トランスレーション』の制作秘話「ゲリラ撮影のせいで、東京から追放されなくてよかった」

カルト的人気を誇るソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』が公開から20周年を迎えた。それを記念し、現在フランスのベルサイユ宮殿では大規模な特別展が開催され(2027年1月24日まで)、本作の制作現場を記録したドキュメンタリー映画『Making Marie Antoinette(原題)』も2026年10月から欧米で公開されている。コッポラが、映画『ロスト・イン・トランスレーション』の撮影秘話から母親から学んだことまで、英「ガーディアン」紙の読者たちから寄せられた質問に答えた。──私は14歳で、映画監督を目指しています。私はあなたの映画が、成長していく少女の気持ちをとてもよく捉えているところが大好きです。あなたは家族の女性から、どのような刺激や影響を受けてきましたか?母からは、自分らしくいること、自分の興味のあることを追いかけること、そして身の回りにある美しさを見つけることについて、多くを学んだと思います。母はいつも、日常のなかにあるちょっと変わった細部に目を留める人でした。だから私の映画の多くも、そうした細部の積み重ねでできているんです。──あなたの映画は、ホテルの部屋という孤独な空間を美しく描いています。そこは、登場人物の過去や未来から完全に切り離された場所です。もし、あなた自身がそうした静寂のなかに身を置かれ、大切な思い出を一つだけ残し、別の思い出を一つ永遠に消さなければならないとしたら、それぞれ何を選びますか?思い出を一つ選ぶのは難しいですね。でも最近、映画『マリー・アントワネット』の公開20周年を祝うパーティーをヴェルサイユ宮殿で開いたんです。そこではニュー・オーダーが演奏してくれました。彼らが(映画のサウンドトラックにも使われている)「セレモニー」を演奏しはじめて、照明がついた瞬間、こう思ったんです。この先、幸せな思い出を振り返りたくなったときには、きっとこの瞬間を思い出すだろうなって。辛い思い出だって、いまの自分を形作っているものの一部です。そこから学ぶこともあります。だから、消してしまいたい思い出は何も思いつきません。──映画『ロスト・イン・トランスレーション』は、撮影許可が取れなかったため、一部をゲリラ撮影したと聞きました。逮捕される危険が最も高かったのは、どのシーンですか? もし国外退去になっていたら、どうしていたでしょう?ほとんどのシーンでは撮影許可を取っていました。でも、スカーレット(・ヨハンソン)が地下鉄に乗っているシーンは、一般の乗客がいるなかで、さっと撮影しなければなりませんでした。有名な渋谷のスクランブル交差点にいる彼女を、上から撮ったシーンも同じです。スターバックスからの眺めが素晴らしかったので、そこに入って撮影したんですが、あの場所で撮影許可を得るなんて、まず無理だったでしょうね。だから、ゲリラ映画制作の精神で、いくつかのシーンはこっそり撮らせてもらいました。ええ、国外退去にならなくて本当によかったです。

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