■■「強盗に入られた。2階に逃げて通報している」2025年12月22日の午前0時半すぎ、80代の夫婦が暮らす静岡県長泉町の店舗兼住宅に、目出し帽をかぶった複数人の男が押し入った。夫婦は口や目にガムテープを貼られた。両手足をビニールひもで拘束されたことにより、夫は骨折などのけがをした。犯人たちは、ジュラルミンケースに入った現金約1800万円を奪って逃走した。「強盗に入られた。『早く金を出せ』と言われた。2階に逃げて通報している」通報から2週間後、実行役として逮捕されたのは高校生を含む17歳の少年3人だった。それから、"犯行の指示役"、"現場での指示役"、"リクルーター役"、"上位の指示役"とされた男など、この事件で計9人が強盗傷害などの疑いで逮捕された。"運転手役"の無職の男(22)もその1人だった。■■「事件のことは理解していませんでした」事件から9か月。強盗傷害と住居侵入の罪に問われて最初に法廷に立ったのは、"運転手役"の高知県に住む無職の男(22)だった。男は初公判で「私は運転手として関わったことは事実です。事件のことは理解していませんでした」と起訴内容の一部を否認した。運転手役を務めた男は、共同して犯罪を実行した「共同正犯」か、それとも犯行を手助けした「ほう助犯」か。検察側は「共同正犯」が成立すると主張。「自分の犯罪と言える程度に犯行に関与した」と指摘した。一方の弁護側は「ほう助犯」であると主張し、「強盗行為を行ったわけではない」などとした上で、「他人の犯罪を手伝ったにすぎない」と訴えた。■■苦悩する被害者「本当に怖い思いをして、精神的に参って死んでしまおうと思ったことも」法廷では、強盗に襲われた80代夫婦の悲痛な思いを検察官が代読した。<襲われた夫の供述調書の一部>「この日は仕事が休みだったので自宅で休むなどしていました。午後11時45分頃、2階の寝室のベッドで就寝しました。眠り始めてしばらくたって、妻が『わー』と大きな声で叫び始めました。黒色の目出し帽の男がいて、顔に両手を押し当ててきました」「『金庫を出せ』『お前らは脱税している』『お前らは悪いことをしている、俺たちはいいことをしている』などと意味の分からないことを言われました」「生活費は妻が保管していました。『早く、金があるなら渡してしまえ。命には代えられないから』と妻に言いました」犯人の姿が見えなくなったと思い、夫婦が警察に通報したところ、作業所にいた強盗犯らと鉢合わせたという。<襲われた夫の供述調書の一部>「殺されるかもしれないと怖い思いをしました」「脱税うんぬん言っていましたが、身もふたもないことです」「今もおびえながら生活をしています」妻は、事件から9か月がたった今も元の生活に戻れない状況だという。<襲われた妻の供述調書の一部>「お金は銀行にも預けていましたが、現金を持っていた方が何かと便利なので、家にも置いてありました」「死を覚悟するほど本当に怖い思いをして、精神的に参って死んでしまおうと思ったこともありました。なぜ私たちが狙われたのかも分からない」