マンションの経年劣化に伴う修理に備えて、住民がためる「修繕積立金」。その使い道を決める管理組合の会議に施工会社や設計コンサルタントが潜入し、自分たちに都合の良い発注先や工事額になるよう利益誘導する悪事が起きている。実際に被害に見舞われ、積立金を食い潰されてしまう前に悪徳業者の「なりすまし」を見抜いた当事者に話を聞いた!【施工会社とコンサルのあるまじき癒着】経年劣化に伴うリペアは、人の体に限らず、暮らしの場であるマンションにも求められる。その修繕工事を巡り、住民が長年にわたり積み立てた「修繕積立金」を狙う不正が相次いでいる。設計コンサルタント会社、施工会社が結託して工事費をつり上げ、不当に奪ったカネを分け合う。そんな業界の悪弊が加速し、近年は施工側の人間が住居を購入して修繕委員会に潜り込んだり、果ては住民になりすまして会議を誘導したりする事例まで表面化している。実際に「なりすまし詐欺」の被害に見舞われた住民の話から、積立金をつけ狙う悪徳業者の実態を浮き彫りにする。* * *公正取引委員会は9月28日、関東のマンション管理組合が発注した171件の大規模修繕で談合したとして、設計コンサルタント会社のリノシスコーポレーション、翔設計、工事会社の長谷工リフォームなど、40社の独占禁止法違反を認定。このうち37社に計約16億円の課徴金の納付を命じた。今年6月に『マンション狙われる修繕積立金』(平凡社新書)を上梓したノンフィクション作家の山岡淳一郎氏が、大規模修繕での談合の構図を解き明かす。「一般的にはまず工事に際して、住民による管理組合が公募などで設計コンサルタント会社を選定します。その上でコンサルとも協議しながら、施工会社を公募する。そうして選ばれた企業が工事を担い、コンサルが作業全体を監督するという『設計・監理方式』が主流となっています。コンサルが施工業者を監視して、手抜き工事などを防ぐ利点があります。