世界で猛威「アフリカ豚熱」食への影響も 国内への侵入をどう防ぐ 関西空港の農林水産省「動物検疫所」に密着

豚などに感染する、致死率の高い「アフリカ豚熱」がいま、世界で猛威を振るっています。関西でも生ハムの仕入れが制限されるなど食への影響が出るなか、関西空港で国内への侵入に目を光らせているのが農林水産省の動物検疫所です。最前線を取材しました。 おいしいお酒と一緒に楽しむ、薄くスライスされた生ハム。この店では「生ハム食べ放題」が人気メニューでしたが、仕入れが難しくなっています。 小林智史さん「いったん今は食べ放題はなくして、再開となると、まだまだメドがたっていない」 その原因が、「アフリカ豚熱」です。 「アフリカ豚熱」とは、スペインやイタリアを含むヨーロッパや、中国、東南アジアなどで拡大している伝染病のこと。 東アジアで発生が確認されていないのは日本だけです。 人へは感染しませんが、感染した豚へは有効なワクチンや治療法がなく、1週間ほどで死に至るといいます。 感染が確認された国や地域からの輸入は制限され、スペイン産やイタリア産の生ハムが仕入れにくくなっているのです。 客「僕が予約に来たんですけど、『生ハム食べ放題なんですか』って聞いたら『いまちょっとやっていないんです』と言われた。そこまでひどくないと思っていた」 店では現在、フランス産で対応していますが、仕入れ値は3割ほど上がったといいます。 そんな中、中国から豚などのソーセージを密輸したとして、先月(10月)、中国籍の女が逮捕されました。 報告・下内寛人 記者「女はこのように、黒色の袋に包まれた段ボールにソーセージを隠していたということで、スーツケースからは同じようなソーセージが大量に押収されています」 警察によりますと、女が持ち込んだのは21キロを超える中国製のソーセージ。 SNSで、何者かから約4800円相当の成功報酬で密輸を持ちかけられたといい、女は調べに対し「肉が含まれているとは知りませんでした」と容疑を否認しているということです。 毎日、大勢の外国人観光客などでにぎわう関西空港。 その玄関口で、海外から家畜の病気が持ち込まれないように目を光らせているのが、農林水産省の動物検疫所です。「失礼します。かばんチェックします」 大きなスーツケースのあいだを、においをかぎながら歩く「検疫探知犬」。 入国した人の荷物をチェックし、肉製品などの「持ち込み禁止物」を見つけると「お座り」で職員に知らせます。 全国の空港には140頭の検疫探知犬が配置され、おととし(2024年)は10万件を超える持ち込み禁止物を見つけました。 ミャンマーから来た女性3人組。探知犬が反応したため、職員がカウンターで荷物を調べるとー。 職員「これ見えないから、中に何が入っているかチェックするよ。開けていいかな」 荷物の中から見つかったのは新聞紙に包まれた「物体」。 職員「これなんですか?」 客「豚肉…牛肉」 職員「牛肉?牛肉なの?これ」 客「はい」 中身は牛肉。もちろん、持ち込みは禁止されています。 職員「これも牛肉?」 客「はい」 職員「全部牛肉かな」 客「同じです」 職員「だめだめ。勝手に触らないで」 客「ははは~」 その後、荷物からは豚肉も見つかり、すべてその場で没収されました。 見つかる肉製品の多くは、お土産や自分で食べるためのもの。悪意がないケースも多いといいますが――。 動物検疫所 関西空港支所・岩中麻里 次長「どういう加工をしていても、病源体が残っている可能性がある。 日本の畜産をやっているところに病源体が入って、 疾病が発生する可能性が否定できない。ここで止めなければいけない」 去年(2025年)、日本に持ち込まれそうになった持ち込み禁止品は100トンを超え、過去最多となりました。 畜産農家も強い危機感を持っています。 滋賀県の養豚場では、敷地内に出入りする車を消毒し、豚舎に入るときは防護服を着て、専用の靴に履き替えないと中には入れません。 また、別の豚舎へ移動するたびに服を着替えるなど、ウイルスを持ち込まないための対策を徹底しています。 蔵尾ポーク・蔵尾翼さん「一頭でもアフリカ豚熱が出てしまうと、いまここにいる子たちは殺処分になってしまう。生活がかかっていることなので、できる限り食い止めたい」 機械化を進める養豚場もありますが、体調の変化や農場内の異変まで見抜くことは難しく、豚の小さな変化を見逃さないことも対策のひとつ。 蔵尾ポーク・蔵尾翼さんQ.健康チェックはどういうところを見ていますか?「人間が入って興味を示さないのは何かがおかしい」Q.いま、いる子たちは「みんな元気ですね」 蔵尾ポーク・蔵尾翼さん「常に不安はあります。これだけやっていても入ったらというのは常に思いながら、気をつけるようにしている」 私たちの食にも影響を及ぼす「アフリカ豚熱」。 少しの油断で取り返しのつかない事態が起きてしまうかもしれません。 日本への侵入を防ぐための警戒が続いています。

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