なぜ人々は荒唐無稽なカルトの言説に惹きつけられるのか?神真都Q、参政党、ドナルド・トランプを分析する

カリスマを中心とした熱狂的な集団を「カルト」と呼ぶ。宗教、政治、エンタメ・芸術はもちろん、あらゆるサービスや商品にもカルト的な人気は存在するが、カルトがらみの詐欺や搾取、危険な扇動行為も日々のニュースにあふれている。 人はなぜカルトにはまり、扇動されてしまうのか。『危険だからこそ知っておくべきカルトマーケティング』(ぱる出版)を上梓した、悪徳商法、エセスピリチュアル、疑似科学、陰謀論などについて取材・執筆しているライターの雨宮純氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト) ──「神真都Q(やまときゅー)」という陰謀論系の団体について書かれています。 雨宮純氏(以下、雨宮):この団体が形成されたのは2021年の後半です。神真都Qはワクチン否定派の団体の中でも特異な世界観を持っていました。それは、太古の昔に地球にやってきた宇宙人が、秘密結社イルミナティの一派閥を構成し、世界を支配してきたというものです。 そして、その闇の宇宙人を倒して光の世界をもたらすのは大和民族(彼らが思うところでの、普通の日本人)ということになっています。 日本人はとある遺伝子を封印されているが、その力を覚醒させることで宇宙人を打倒でき、光の世界がやってくる。彼らはこのような、光と闇の戦いという終末論の世界観を持っています。どこか昔のアニメ作品を思わせるところもありますよね。 陰謀論に限らず、同種の設定はさまざまなエンタメ作品や宗教、スピリチュアルなどにも見られ、人々の心に響く力を持っていると言えます。 このようにスピリチュアル色が強く、宇宙人や異次元存在が出てくる陰謀論を「コンスピリチュアリティ」と呼びます。 彼らの中心的な活動に反ワクチンデモがありました。日本中、いや世界中の人々が向き合わざるを得なかったコロナ禍で、たとえ割合は少なくともかなりの数の人々を誘引できる「ワクチン反対」というアイデアを入り口にすることで、実際に人を集めることに成功したのです。 上記のオカルト・スピリチュアル色の強い言説は、ワクチンを「闇の宇宙人が人々を支配する道具」と考えることで、ごく普通の人も接するワクチンに接続することが可能になります。さらに、宇宙人や異次元存在が出てくる言説はスピリチュアルの世界ではごく一般的であり、そのような層もコアな支持者として取り込むことが可能でした。 神真都Qはさまざまな陰謀論を展開しましたが、中でもレプティリアンをその言説に取り込んだのは彼らの大きな特徴でした。レプティリアンというのは爬虫類型宇宙人のことで、大抵は悪い宇宙人だとされます。

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