検察が25日、曺喜ヨン(チョ・ヒヨン)前ソウル教育長特恵採用事件など家宅捜索および補完捜査を進めた過去の事例を挙げて拘束期間延長を再申請したが、裁判所は当日また許可しなかった。これは「すぐに釈放しろ」という尹大統領側および与党圏と「すぐに起訴しろ」という野党圏の陣営間の衝突をもたらした。結局、検察が即時起訴を決めると、尹大統領弁護団は「公捜処に続く検察の憲政蹂躪(じゅうりん)を糾弾する」と明らかにした。大統領室高位関係者は「国民が選んだ大統領を、今も国家元首である大韓民国大統領を、不法に便法を加えて拘束起訴した現状況があまりにも薄情で残念だ」と話した。 検察が尹大統領を補完捜査なく直ちに起訴したのは、容疑立証に自信があるほど、すでに確保した証拠や陳述などが充分だと判断したためだ。検察はこれに先立ち、金竜顕前長官ら内乱重要任務従事者10人を起訴した。彼らの控訴状には非常戒厳宣言以降、尹大統領が下した指示内容が詳細に記されている。金前長官らの控訴状には「大統領は姓名不詳の軍人・警察公務員らと順次共謀して国会を封鎖し、国会・選管委・民主党事務所などを掌握し、違憲・違法な布告令に基づいて国会議員などを令状なく逮捕・拘禁して国会を無力化させた後、別途の非常立法機構を創設するなど国憲紊乱の目的で武装した軍人1605人、警察官約3144人等を動員する方法で暴動を起こした」という内容が記された。 この外に非常戒厳宣言のための国務会議、布告令1号などに関連して「大統領の一方的な通知があっただけで実質的な議論が全く行われなかった」「憲法上、立法権を持つ国会の機能を完全に停止させて事実上廃止すもの」などの表現が金前長官などの控訴状に含まれた。 ただし、尹大統領を対面調査を一度できないまま控訴維持をしなければならない点は検察にとっても負担だ。 金前長官ら10人を拘束起訴して物的証拠と陳述を確保してはいるが、その頂点に指定された尹大統領に対する対面調査は一度もできなかったためだ。尹大統領側は憲法裁判所弾劾審判などで検察が控訴状に記載した内容に対して事実関係を全面否認している。 尹大統領側は「死傷者が生じる場合があるという判断で、議員ではなく『要員』を引っ張り出せと言った」「非常立法機構メッセージは金竜顕前長官が作った」などと主張している。次長検事出身のある弁護士は「両側が事実関係を争えば予想より裁判が長期化する可能性もある」と話した。