1月28日午前11時ごろ、阪急十三(じゅうそう)駅西口付近で、人が刺されて複数のケガ人が出ていると110番通報があった。通報を受けた警察官が駆けつけたところ、刃物を振り回した男はすでに男性らによって取り押さえられていたという。一体何が起きたのか。 殺人未遂の現行犯で逮捕されたのは大阪市淀川区に住む職業不詳、島田利武(りぶ)容疑者(22)だ。島田容疑者は十三駅前で知人男性に対し、刃渡り約7.5センチのはさみを知人男性の頭部に突き刺し、殺害しようとした疑い。 刺された男性は幸いにも打撲で済んだということだが、止めに入った知人は指に切り傷を負ったという。そして島田容疑者本人も指を切ったようで流血しており、手や靴などが血で染まっていた。 筆者は偶然にも現場に遭遇し、島田容疑者が連行される模様を撮影したが、島田容疑者は連行される際、警察官らに対し終始悪態をつきまくっていた。 「早よパトカー乗せろやこっちは痛いねんぞ!」 「お前らホンマどんくさいな! 一生交番のお巡り止まりやろそんなんやったら!」 などと興奮しっぱなしの様子だった。 島田容疑者が血まみれなので、感染予防の観点から警察官は手袋を着用し、パトカーの車内は毛布や袋などでシート類を極力汚損しないようにと警察官らが養生していたが、それを見た島田容疑者がさらに腹を立てたのか、履いていた血だらけのスニーカーの右足を突如として脱ぎ捨てた。 「こんな靴もういらんわ!」と言ったかと思えば、いざパトカーへ連行されるとなると「早よ靴履かせろよ! 足痛いがな! 救急車乗せろよ、これやのうて!」と身勝手極まりない言動だった。 車内に入る際も血だらけの手で養生していないヘッドレストを触り、警察官に「触らんとって!! もう一人乗るから早よ奥に詰めて!」と大声で注意される場面も。救急車を繰り返し求める島田容疑者に対し、警察官が「本署着いたら呼ぶから辛抱せえよ」とたしなめられ、島田容疑者は淀川警察署へ連行されていった。 ◆商店街は騒然とした雰囲気に 事件現場の阪急十三駅は梅田駅に近く、昼夜を問わず人通りが多い、飲み屋街なども多数立ち並ぶスポットである。十三駅前には商店街があり、大阪名物の一つとして有名なみたらし団子の『喜八洲総本舗』も十三駅前に所在している。 事件発生時も多くの人で賑わっていたが、商店街入り口には救急車3台、パトカー5台が集結し、辺りは騒然とした雰囲気に包まれていた。 店舗従業員に事件発生時の様子を聞いた。 「11時ごろに急に大声が聞こえたなと思ったら辺りが血だらけになって驚きました。直後に犯人が取り押さえられてましたけど、何が起きたのかわからなかった。警察官が別々に男の人を連れて行って話を聞いていました」 また、別の目撃者は「騒ぎが聞こえたので通り魔かと思いました。最近物騒やからどこで起きても不思議じゃないし……」と不安そうな様子だった。 島田容疑者が連行された後、十三駅西口では当面の間、規制線が張られたままだったので、改札を出た利用客らは迂回を余儀なくされ、小さな階段で商店街方面へ移動せざるを得なかった。車いすの方も通れず立ち往生するなど現場は混乱していた。 そして血痕を掃除するために駅の関係者らが近隣店舗の方と共にバケツやモップなどで掃除する姿も見られ、島田容疑者の傍若無人な振る舞いはさまざまな人に大迷惑をかけていた。 取材・文・PHOTO:有村拓真