「私は性的に異常というか、性的欲求を抑えられなくなることがあります。好みの女性を見ると、相手の意に反して襲いたいという性的欲求を抑えられなくなるんです」 20代の女性2人、AさんとBさんにわいせつな行為をしたとして、2件の不同意わいせつの罪に問われている泉海依被告(いずみ かい・27)は、検察官の「なぜこのような事件を起こしたと思うか」という質問に、こう答えた。 「警視庁渋谷署は’24年11月26日までに、不同意わいせつの疑いで泉被告を逮捕しました。泉被告は10月23日の深夜2時ごろ、帰宅途中の女性Bさんを渋谷区松濤の公園に引きずり込み、馬乗りになって体を触ったということです。Bさんの嫌がっている声を聞いた男性が110番通報したことで事件の発覚につながりました。 泉被告はそれより前の8月18日未明に世田谷区の路上を歩いていたAさんに後ろから抱きついて触ったとして、すでに不同意わいせつの罪で逮捕・起訴されていました。2回目の逮捕を受けて、泉被告は妻と離婚。住んでいた世田谷区の住居を引き払ったということです」(全国紙社会部記者) ’25年1月22日、東京地裁で泉被告の初公判が開かれた。 泉被告は「2件とも酔っ払っていて、ほとんど記憶がない」としながらも、罪を認めている。その理由について、「被害者の証言があり、防犯カメラの映像など証拠があるからです」と述べた。 ◆腕をつかみ引きずり込んだ 泉被告は都内の飲食店でソムリエとして働いていたという。営業中にお酒を飲み、仕事が終わると、職場の近くの店でさらに飲み、レンタルサイクルで自宅まで帰っていた。2件とも、犯行現場付近でレンタルサイクルに乗っている泉被告の姿が防犯カメラの映像に残っていた。 1件目の事件では、自転車でウロウロしていた泉被告が立ち寄ったコンビニでAさんに目をつけ、あとをつける姿が防犯カメラに映っていたという。 検察官が「自転車でウロウロしていたのは、女性を物色していたのではないか」と質問すると、泉被告は「犯行の記憶がない」としながらも否定した。 「もう1軒、飲みに行くかどうか迷っていたので、ウロウロしていました。そして、たまたま見かけたAさんが好みのタイプだったので、あとをつけたのだと思います」(泉被告) 2件目の事件では、Bさんに「飲みに行きませんか」と声をかけて断られたものの、泉被告は「性的な欲求が抑えられなかった」ため、腕をつかみ、抱きかかえるようにして公園の中に引きずり込んでいたが、泉被告は「Bさんを公園に引きずり込んだ記憶がない」と述べている。 検察官が、 「Bさんは当時酔っていて記憶があいまいながらも『ジャリジャリと地面を引きずられた記憶はある』と供述しています。歩けない状態のBさんを公園の中まで引きずっていくのは、そうとう重かったのではないですか。それも覚えてないんですか」 と質問を重ねても、やはり「覚えてない」と答えたのだった。 ◆「厳しい処罰」を求める声が 110番通報した後、Bさんを救出すべく男性が来たとたん、泉被告は驚きの行動に出ている。自分が襲ったにもかかわらず、突然立ち上がるとまるでBさんを気遣うかのように、「大丈夫ですか」と声をかけ始めたというのだ。だが、このことも泉被告は「記憶にない」という。 しかし、検察官の「なぜ公園の中に引きずり込んだのですか。わいせつな行為以上のことをしようと考えたからではないですか」という質問には、「それは、ありません」とはっきり否定した。 公判のなかで、検察官は被害者2人の供述調書を読み上げたが、2人とも、強い処罰感情を感じさせるものだった。 「できることなら、被害に遭った記憶を消したいのですが、記憶を消すこともできず、心の傷を抱えたまま生活をしている状況です。身勝手な行為で、私の生活を変えてしまった犯人には厳しい処罰を与えてほしいと思います」(Aさん) 「暗がりが怖くなって、夜、外出することが激減しました。知らない男の人が電車で横に座ったり、後ろを歩いたりすると、恐怖心が芽生えてしまいます。厳重に罰して、私をこのような状態にした責任を取らせてほしい」(Bさん) 調理学校を卒業後にソムリエの資格を取り、フレンチの有名シェフの店で働いたこともあったという泉被告。検察官による被告人質問のなかで、泉被告は、 「性的な欲求を抑えられない異常性を、前から感じていた」 と証言している。今後は専門のクリニックに通い、性的欲求のカウンセリングを受ける予定だという。 事件を起こす前に自分の性癖としっかり向き合えていたのなら、被害者を出すことはもちろん、妻や料理人としてのキャリアを失うことはなかったのだが――。