ススキノ殺人裁判 「首を拾ってきた」と言われた父 娘に何も訊かず。

札幌・ススキノでおととし、男性が殺害され、親子3人が起訴された事件。殺人などを手助けした罪などに問われている父親で医師の田村修被告(61)の7回目の裁判員裁判がきょう、札幌地裁で開かれました。 ススキノのホテルでおととし7月、恵庭の会社員男性が殺害され、頭部を切断された状態で見つかった事件では札幌・厚別区の田村瑠奈被告(30)ら親子3人が殺人などの罪でそれぞれ逮捕・起訴されています。先月の初公判で父親は「無罪」を主張していて、殺人や死体遺棄を助けた「ほう助」の罪が成立するかが争点になっています。 7回目のきょうは午前から、先行して裁判が始まった母親の田村浩子被告(62)への検察側による証人尋問や、弁護側の反対尋問などが続き、夕方近くから父親の修被告への被告人質問が始まっています。修被告の発言の場は、先月14日の初公判以来となりました。 被告人質問をする弁護側と父親・修被告の主なやり取りは以下の通り。 Q(弁護側) まずは遺族への思いを。 A この件によりまして亡くなられた●●さん、ご家族、関係者、多くの方々に取り返しのつかない、ご迷惑をおかけしたこと、本当に申し訳なく思っています。 Q 終わりでいいですか? A はい。 Q ●●さん(被害者)に「娘のところに来ないでほしい」という趣旨の電話は何回くらいかけていたのか? A 正確には覚えていないが、(事件直前の)7月1日の午後2時ごろに一度つながったこと。そしてもう一度は午後4時すぎ。その時は呼び出し音で終わってつながらなかった。 Q つながったのは一度だけと? A だと思います。 Q 公衆電話から? A はい。職場のPHSはまず(私的利用には)不適切。そして普段使っているスマホはネットだけつないでいて音声通話ができない。(被害者男性に)かけるとしたら家の電話か公衆電話の二択。このときは公衆電話からかけた。 (中略) Q 被害者に会わないでほしいとお願いすることになった経緯は? A 浩子は私よりも積極的に「会わせたくない」と思っていたと思う。私は娘が「嫌なことをまたされないように、クギをさしておく必要はある」という認識だった。(公衆電話からつながったときの内容は)浩子のほうの(強い)希望を話したのではないかなといま推測しています。 Q 被害者男性は電話に対して「分かった」と。 A ●●さんは「本人(瑠奈被告)も会うのを楽しみにして約束したのだから、会いにはいく。ただ、そちらが心配しているような嫌なことはしない」と。 Q どう思った? A これは会いには来るなと思った。私としては(嫌なことはしないように)クギは刺したいなと思っていた。 Q 会わせたくない希望をより強く持っていた浩子被告には何と伝えたのか? A 「できれば来てほしくない」「(娘が)嫌がることはしてほしくない」などと伝え、相手も「分かりましたよ」と言ってくれたよ、というような説明はしたと思う。 (中略) Q 娘の殺害の意思は知っていたか? A 全く思っていませんでした。 Q 殺害後に自宅に戻ってからの流れは? A 家に着く直前に氷を買った。本人はスーツケースを車から降ろして。私は(家の)カギを開けて。そうしたら本人(瑠奈被告)は家の中へ。私も氷を持って家の中へ。瑠奈は着ていたものを脱いでスーツケースの中から何かを出して、家に上がっていった。「首を拾ってきた」と淡々と言われて。「ついてきて?」と言われたので氷を持ちながら家の中についていった。 Q 「首を拾ってきた」と言われて、瑠奈被告に何も聞いていない? A 聞いていない。 Q 頭部があることはその時点で知らない? A はい。 (中略) Q 修被告のネットカフェ生活については? A (夫婦の)仲が悪かったからとかではない。単に家の中に寝るスペースがなかったから。 Q 少しでも片付けて家で寝ようとは? A (事件前の春に)浩子が脚のケガによる入院から戻ってくるとなって、娘も短期間でかなり努力して、(散乱していた)家の通路などは開けてくれた。でも娘はもうそれ以上は片付けにエネルギーを使えないような状態になっていた。 (中略) Q 頭部を家に置いていいかと瑠奈被告から聞かれたことは? A ありません。 Q 置くことを許可したことも? A ありません。 (中略) Q 本人に何かを尋ねることは? A 通常の親子としての会話が成立しづらい。娘は突拍子のないことを言ったりする。いちいち確認する、問いただすことをしていないのは「理解できる答えが帰ってこない」ことからで、いつの間にか聞かなくなった。(略)目の前の本人が「首を拾ってきた」としか言わない。これ以上、刺激を与えるようなことはしないように。(略)浩子被告には話したという「(犯行後のホテルの)浴室の掃除をした」ことも私の方では瑠奈から聞いていない。 (中略) あすも裁判は開かれ、修被告への被告人質問などが続く予定です。父親の裁判員裁判は最長で12回とされていて、判決は3月12日を予定しています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加