外国人の犯罪被害増加 中国公安局名乗り、同胞狙った誘拐偽装詐欺事件相次ぐ

日本に住む在留外国人が最多を更新する中、外国人が犯罪被害に遭う事件も増加している。日本での生活や法律に不慣れなことで犯罪に巻き込まれているほか、中国公安局を名乗る詐欺事件が相次いで発生するなど、同胞に狙われたとみられる悪質な犯罪も横行している。 ■中国語で指示 「あなたの口座が不正送金に使われている」。日本に住む中国人留学生の元に2年前、中国公安局などを名乗る男から電話が掛かってきた。男は中国語で保釈金を払う必要があるとし、「誘拐されたふりをして親に身代金を支払わせればいい」と指示してきた。 留学生は電話に従い、手足を自分で縛った写真を親に送信して、金の工面を依頼。受け取った金を、そのまま男に送ったという。都内では誘拐を偽装させて金をだまし取る詐欺事件が令和5年に相次いだ。中国公安局を名乗って中国人を狙う同様の手口は日本ばかりではなく、米国やオーストラリアなどでも確認されているという。 日本に住む在留外国人は、358万8956人(昨年6月末時点)と過去最多を更新した。警察庁によると、外国人が被害に遭った刑法犯認知件数は、令和5年が2万1248件(前年比5331件増)と、平成22年以降で初めて2万件を突破。被害で目立つのは窃盗や詐欺だとされる。 都内で発生した外国人の特殊詐欺被害件数は、警視庁国際犯罪対策課によると、令和4年は16件だったが、5年には31件と倍増。6年は11月末時点で36件に達した。 ■闇バイトに応募し加担 一方、犯罪に加担する外国人も目立つ。昨年10月、北海道斜里町で、ベトナム国籍の男3人がサケを密漁する事件が発生。男らは交流サイト(SNS)などでの闇バイトに応募したという。12月には台湾在住の男(20)が来日し、金塊を狙った詐欺事件に実行役として関与して逮捕された。男も«外国で手早く稼げる仕事»とするフェイスブックの広告に応募していた。 47都道府県で最も多い約70万人の在留外国人が住む東京都を管轄する警視庁は、在留外国人の母語を使用し、外国人が犯罪に遭わないよう注意喚起に力を入れる。 国際犯罪対策課は昨年9月からフェイスブックで外国人向けの発信をスタート。《スリに気をつけて!》《悪質な客引きに注意!》などの情報をアップしている。

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