【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】 人気アイドルグループ「嵐」のリーダー、大野智(44)の所属する「STARTO ENTERTAINMENT」が、SNSで大野が「薬物事件に関与して、まもなく逮捕」といったデマ情報を拡散されたことに対し法的措置を進めている。インターネット上の権利侵害投稿7件に対し開示請求を行い、名誉毀損記事を掲載していたサイトが閉鎖していたことも明らかになった。 僕は、このような虚偽の記事投稿については、刑事・民事の両方でどんどん訴えを起こしておく方がいいと思っている。 松本人志が週刊文春を訴えた時も「事実でないから」とコメントしたので、最後まで、つまり最高裁の判断が確定するまで時間をかけて争うべきだと思った。だが、松本は「性的行為を強要したという客観的な証拠はなかった」としてグレーゾーンで訴訟を取り下げてしまった。つまり、ホテルでそれらしい行為は行われていたわけで、裁判を継続するにはまったくの事実無根でなくてはならなかった。 もし事実でなければ裁判にも勝てるし、民事で慰謝料を少し得られるだけだとしても、その後、この件でデマ情報が流れることはなくなる。 芸能人が「〇〇した」といったこの手の話は、昔からあった。古くは、俳優の故・加藤剛さんが若い頃、交際報道を報じた相手(マスメディア)を訴えたことがあった。もう60年近く前の話だ。加藤さんは「芸能人の人権」を求め、気骨のある行動だった。このことで、その後、加藤さんに関する不用意な記事はメディアも扱わなくなった。「ロス疑惑」で有名な故・三浦和義氏の時もすごかった。妻が米ロサンゼルスで銃撃され、その事件に関与していたとして過熱報道が続いた。結局、三浦氏は別の殴打事件で有罪(懲役6年)とはなったが、本丸の殺人事件では実行犯がわからず最高裁で無罪が確定した。 今の人は信じられないだろうが、当時のマスコミは連日、三浦氏の報道ばかりで、僕も嫌になるほど三浦氏の自宅に張り込んでいた。その過熱ぶりは凄まじく、三浦氏が当時流行した愛人バンクに登録して「複数の愛人と関係していた」といった、事件とは何の関係もない情報を僕も含めて垂れ流していた。 今では考えられない報道ぶりで、三浦氏は拘置所の中からマスコミを次々訴え、次々と慰謝料を勝ち取った。マスコミは内心、恐怖だった。 SNSであらゆる情報が流される今、虚偽情報は訴えられるという風潮ができれば、さらに最後まで戦うというケースが増えれば、偽情報やデマ情報は確実に少なくなるはずだ。 (城下尊之/芸能ジャーナリスト)