ぬるい常識を振り切ったその力技に感心させられる〈発想ぶっ飛び型小説〉!(レビュー)

日本からブラジルまで直通する穴を掘る計画。そんなトンデモ発想をまんまと1篇の小説に仕立て上げてしまったのが、山野辺太郎のデビュー作『いつか深い穴に落ちるまで』なのである。地球の内部構造なぞ知ったことか。直通した穴を人体が通り抜ける際に起こりうるトラブルなぞ知ったことか。読み手のぬるい常識のすべてを振り切って、物語という土壌を掘って掘って掘りまくる。そしてついに世にも奇妙な、世にも面白おかしき世界を顕現させる。呆れ返りつつも、その力技に感心させられるはずだ。

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